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2007-05-07 18:00
「木の文化」を世界へ発信しよう
岩國哲人
衆議院議員
海外に長く暮らしながら、日本を考え、その国と日本との文化の違いを考えてきました。日本の文化は木と紙の文化。木と紙だけが特徴ではありませんが、他国の文化には見られない美しさと独特の感性を発展させてきたのは、木の文化にあると思います。日本はその伝統を今こそ自然との共生へ、そして地球保全への貢献に、誇りと自信をもって打ちだすべきではないでしょうか。新憲法を制定するときにはその前文に、そして教育基本法にも具体的に書き込むべきです。
時は五月。木々の緑が鮮やかで、日本中が若葉におおわれています。CO2を吸収し、酸素を吐き出し、一枚一枚の葉が一人前の工場に匹敵する働きをこなし、日本中の若葉を合計すると、多面的機能の評価額は日本学術会議の計算では一年間に七十兆円に達するといわれています。一年三百六十五日、一日も休まずに、これだけの仕事をひと言も文句を言わずにこなす、まさに「日本一の働きもの」は山であり、森であり、木なのです。だからこそ日本では「御神木」とか「鎮守の森」として大切にし、家庭で一番大切な母の存在を「山の神」と尊称したりします。
日本は文化でも経済でも環境でも、もっと木の政策を強調すべきだと思います。出雲市長時代には、木の文化にこだわり続けました。島根県は県土の八〇%が山林で、「樹木」が最大の財産。この財産だけは守るべきであり、「樹」と「緑」には徹底的にこだわろうと心に決めたのです。景観条例を島根県内で最初に施行し、生け垣に五〇%の補助をし、そして「樹医制度」をスタートさせました。「樹医」とは読んで字の如く「樹」のお「医」者さんで、市内の樹木の健康に目くばりし、緑を守るドクターであり、現在、全国で一千人をこえる規模となっています。
造林予算を復活させ、「ぬり絵ノート」を使って木の教育を強調し、木の利用推進のために木造り校舎や木造りドームを、そして木の文化を伝承するために「出雲文化伝承館」を建設しました。木のぬくもり、木の香り、木のやわらかさの中で子供たちを教育し、まろやかな性格の子供たちに成長するように、議会は一九八九年六月に「木造り校舎推進決議」という決議を行いました。全国六六六の市の中で出雲市議会だけでした。
市内の小学校の校長先生との懇談会で、小学生には卒業までに必ず一度は市内の高い山に登らせて、そこから出雲市の全景を見させるようにと言ったことがあります。友達と一緒に山の頂上から広い日本海と、広い出雲平野と、それを取り囲む山々を自分の二つの眼で見るとき、はじめて「雄気林々」、この大きな平野が僕達のふるさと、この山が、森が、みんなわたしたちのものなんだという感動を覚え、ふるさとを守っている木に対する愛情が湧くのです。その感動はどこにいても一生忘れることなく、ふるさとと子供たちを結ぶ太いきずなとなるに違いありません。
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