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2007-05-03 01:00
東アジアにおける人道支援活動の課題
村上正泰
日本国際フォーラム研究主幹
5月2日に赤十字国際委員会(ICRC)とフィリピン戦略開発研究所(ISDS)の共催によりマニラで開催された、東アジアにおける人道支援活動に関するワークショップに出席する機会があった。今回の議論に参加して感じたことは、人道支援活動における調整メカニズムの構築の必要性である。
東アジアにおいては国ごとに多様な人道上の問題が存在しているが、それらの解決に向けて国境を超えた協力が不可欠であるとの共通認識が生まれており、実際に多くの国際的な人道支援が展開されてきている。これ自体は非常に歓迎すべき動きであり、東アジアの地域協力という観点から考えても、人道支援は地域協力の必要性を高めている重要なテーマであると言えよう。
しかしながら、その一方で、さまざまな人道支援活動がバラバラに実施されており、必ずしも相互の連携や一貫性がとれていないという問題がある。たとえば自然災害が発生したと仮定して、そこに人道支援を実施するという場合に、諸外国や国際機関、NGOなどが別々に活動を行っており、それぞれがどのような役割分担で具体的な支援を進めるのかが明らかではない場合が多い。また、そのゆえに必ずしも十分な効果をあげることができないということにもなりかねない。人道支援の重要性というおおよそ誰も否定しない漠然とした共通認識を超えて、具体的な協力のあり方について考えようとすれば、さまざまな人道支援活動を調整するための仕組みが不可欠となってくる。果して何か最低限のルールのようなものを定めるのがいいのか、ASEAN事務局などがより積極的にそうした役割を果たすのがいいのか、いくつかの方法が考えられると思うが、何らかの工夫を行う必要があろう。
それにしても、今回の会議を通じて、中国からの積極的な貢献を期待する声が強かったことも印象深かった。もちろん中国の貢献が悪いというのではないが、それはすなわち国際社会における我が国への評価なり期待が相対的に低下しているということを意味するものであり、我が国としては人道支援活動を今後ますます積極的に展開していく必要があるのではないだろうか。
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