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2007-04-26 20:24
冤罪事件の頻発を憂う
森敏光
みちのく銀行顧問
最近、鹿児島県の選挙違反事件、富山県の強姦事件などの冤罪事件が相次いで明らかとなり、世論の大きな関心を集めている。このような深刻な事態を受けて4月5日、法務・検察当局は全国8高検の検事長を集めた臨時会同を開き、検事総長が裏付け捜査の徹底指示を行うなど、異例の取組みを行っている。この会同に先立つ3月22日、自民党法務部会においても、鹿児島県の事件を受けて議論がなされ、議員の中からは、警察の取調べの可視化(録音・録画)の導入を求める意見が出されるなど真剣なやりとりがなされた。警察庁も、3月8日、鹿児島県の事件を検証したうえで、全国の都道府県警察に綿密で適正な捜査を徹底するよう通達を出すなどの対応を行っている。
富山県の事件については、2月28日、富山県議会の会派代表質問で取り上げられ、県警本部長がその答弁において謝罪したと報じられている。議員の質問の中には、上記自民党法務部会と同様、取調べの可視化(録音・録画)の導入を求める意見が出されたとされている。取調べの可視化(録音・録画)の導入を求める意見に対しては、警察当局が否定的ないしは慎重な考えを表明した由であるが、その具体的な再発防止策については明らかにされていないし、これに関連しての突っ込んだ議論も聞こえてこない。
企業であれ団体であれ、如何なる組織も、法令を遵守した適正な運営を行っていくのは当然のことであるが、しかしそれは簡単なことではない。そのために企業は社外取締役などの外部によるチェックの導入などの方策をいろいろと工夫している。企業においてすらそうであるから、国家の権力を背景とした組織であるならば、その工夫に要すべきエネルギーが企業のそれを遥かに超えるべきものであることは当然である。大変難しい問題ではあるが、国家が健全な法治国家として発展していく上で、避けて通れない重要な問題である。関係当局はもちろん、国民全体が知恵を絞って、勇気を持ってあたらなければならない緊要の課題であると考える。
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