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2018-07-20 10:40
在韓米軍撤退問題について
真田 幸光
大学教員
香港の主要紙の一つである「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」(SCMP)は、6月20日付けで「在韓米軍が撤退すれば中国本土が最大の被害者になりかねない。」と指摘するコラムを掲載しています。米国のトランプ大統領が在韓米軍撤退の可能性に言及したことを中国本土は歓迎していますが、在韓米軍撤退は北東アジアの核戦争を招き、中国本土にとっては、かえって打撃になる可能性があるというものであります。
このコラムの執筆者たるマイケル・ヘン元教授は、「北東アジアの覇権を狙う中国本土は、在韓米軍の撤退を望んでいるが、これは在韓米軍が中国本土に与えていた二つの大きな恩恵を見過ごしている。米軍の駐屯によって、日本は平和憲法を順守して再武装を諦める結果となり、中国本土から台湾に逃げて以降核兵器開発を望んでいた蒋介石も、開発を諦めざるを得なかった。しかし、在韓米軍の撤退によって北東アジアの安全保障が不安定になれば、日本は核兵器開発に乗り出す可能性があり、中国本土の脅威に直面している台湾も自らの生き残りのために核兵器を開発する可能性がある。」と分析しています。
また、「仮に北朝鮮が非核化のまねごとだけをして、実際の非核化の約束を守らなかった場合、中国本土は目と鼻の先に核兵器の脅威があるという状況になる。浮き沈みの多い中朝関係を考えると、北朝鮮の核も中国本土にとっては脅威になり得る。」との見方も示されています。
これに対して、私は、(1)日本の核武装化があるとすれば、それは米国、米軍の傘下で実施されるものであり、日本にとっての防衛面での自立とはならないが、米国は事実上、日本を東アジアの安全保障の橋頭堡にする。(2)台湾の核武装化については、台湾の国民党が米国寄りなのか、中国本土寄りなのかがここのところはっきりせず、米国はこの点を確認しつつ、核武装化を容認するか否か決めることとなろう。台湾が、こうした米国の意向にそぐわない形で核武装化しようとすると、一旦は、米台関係は悪化、中国本土も台湾の核武装化には即時容認するとは思えず、台湾の立ち位置は悪化する。(3)北朝鮮が中国本土の脅威となることは十分にあり得る。北朝鮮、否、金ファミリー帝国が最も信頼する国はロシアであり、中国本土とはディール・バイ・ディール、ケース・バイ・ケースの外交関係にあるからである。と見ています。いずれにしても、「在韓米軍の撤退」がどうなるのか、注視したいと思います。
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