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2007-04-25 18:10
米国はイラク情勢の今後に責任を持つべきである
青木茂
著述業
イラク情勢は泥沼に入っており、連日自爆、爆弾テロによる犠牲者が絶えない。伝えられるところでは、4年前の米軍侵攻以来、イラク人の死者は20万人を数え、200万人以上が近隣諸国に難民として避難している。他方、米国側では4千名近くの兵士が犠牲になり、2万4千人が負傷した。このように双方にとって、莫大な人的犠牲を記録している。
更にはイラク国民全体の窮乏化が進み、幼児死亡率が倍増し、失業率が60%近くに上昇していること、犯罪率の急上昇など、ブッシュ大統領が目標としたイラクの再建からは日に日に遠ざかっている有様である。米国が唱えていた民主主義制度の構築、市場経済の導入は、雲散霧消の感がある。
他方「悪の枢軸」の1カ国であったイランは米国がアフガニスタン、イラクというイランにとってのいわば「敵」を排除してくれたお陰で、中東地域での影響力を高め、核疑惑問題に関しては頑固な立場を堅持している。これはレバノン情勢、パレスチナ紛争にも悪影響を及ぼしている。米国内では米軍の早期撤退が支配的な世論になっている。しかし、仮に明年3月末までに米軍が撤退するとして、果たしてそれ以降のイラク情勢が安定するかについては、何の保証もない。
矢張りここは大量破壊兵器殲滅を理由として国連や世界世論を無視してまでイラクに侵攻した米国が、全責任を負って長期的視点から辛抱強く事態の収拾を図るしかない。イラクの将来が不透明なまま米軍が撤退すれば、それはイラクのみならず中東全体に不安定をもたらすことになる。そのようにならないためには、現在の米国内世論に反してでも軍隊の駐留を続けつつ、現在ほんの僅かではあるが芽が出始めていると言われる国内の和解の動きを強力に支援してイラクの安定化を図っていくことであり、これは短期日で達成出来ることではない。
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