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2007-04-17 13:35
高齢化する地球社会と新たな地球公共財
高橋 一生
国際基督教大学教授
日本社会の高齢化が政策課題になってから30年ほど経つ。20世紀後半は先進国社会の高齢化の時代であった。現在、地球規模で高齢化が進みつつある。人口の数が主要テーマであった人口論が社会問題、ジェンダー、人権論へと移ってきたが、21世紀の中頃に向けて地球社会全体の高齢化が大きな課題になるものと思われる。
「世界人口ブレティン85」によると、2050年の途上地域の人口は78億3,970万人で、そのうち65歳以上が11億4,400万人、すなわち、6.8人に1人が一般的に高齢と定義されている年齢層になるそうである。65歳以上が人口の7%に達すると高齢化社会の入り口、14%を超えると高齢社会と一般には言われる。高齢化率が2倍になるのにフランスは115年、スウェーデンは92年、日本は24年かかった。中国(2026年)は25年、タイ(2027年)とインドネシアは(2041年)は22年、韓国(2017年)は18年で7%から14%になるとのことである。世界全体でみると高齢化率は2005年7.4%、2040年14.3%、2050年16.1%である。国連の2004年版世界人口推計(中位推計)である。すなわち、30年もすると地球社会が高齢社会になる、と推計されている。
日本社会だけをとっても、高齢化が政策課題になってから30年経っても、現在の極めて内容の薄い状況である。地球社会で高齢化問題を政策課題として取り上げても、内容を伴うのは30年以上かかるであろう。幸いにして先進30ヶ国では、この課題について、一定の経験をしてきた。これらの経験と、おそらく多くの他の国は依然として途上国の状態であるまま高齢化社会へ、さらには高齢社会へ突入するという現実とを念頭において、社会のあり方を考え始める必要があろう。この社会のあり方そのものが、21世紀の地球公共財の重要な一部を構成することになるに違いない。高齢化率21%で世界のトップランナーである日本が、この地球公共財を形成するために一肌脱ぐ必要があるように思われる。
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