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2018-02-06 12:55
スコットランド情勢について
真田 幸光
大学教員
私は、「欧州情勢」に大きな関心を寄せています。「欧州の不安定が日米景気に伝播し、先進国景気の拡大に水を差す」と言う危険性を感じているからです。そして、ドイツや、フランス、スペイン、そして、何よりも、「Brexit」による悪影響が懸念されますが、それと同様に、「英国自身の崩壊の危険性」も気にしています。
そして、その危険性が顕在化するとすれば、先ずはスコットランドにその動きが出てくるのではないかとも見ています。さて、そのスコットランドですが、最近の現地報道によると、「スコットランド自治政府の二コラ・スタージョン首相は、『最近の分析によれば、EU離脱で英国がEUとの“関税なしの通商”が不可能になり、WTO関税が適用される様になれば、スコットランドの経済は、年間160億ポンドのマイナス、一家計当たり9.6%の減少となる。従って、英国は、EU離脱後もEU自由市場に残ることが絶対に必要である』と強調した」との動きが見られています。
特に、これまで、スコットランドでは、「英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決まって以降、再び“独立”を目指す機運が高まっている。即ち、その国民投票ではスコットランド住民の6割以上が残留を希望したが、民意は届かなかったからである。住民投票で一度独立は否決されたが、今、住民には、“生活の安定のためにはEU残留、そして独立が必要である”との思いが出ている」とも伝えられており、Brexitの悪影響が上述したようにスコットランドに及ぶこととなれば、再び、スコットランドの独立に向けた動きが顕在化する可能性もあります。
私の認識では、今のところ、スコットランドのスタージョン首相は、過激な動きをせず、英国議会に対して、英国の一部として、EU離脱交渉については、スコットランドの利益が守られるよう影響力を行使すると表明し、英国のEU離脱を懸念する一方で、しかし、早期のスコットランド住民投票実施を望まないとの姿勢を示し、再度のスコットランド独立を問う住民投票実施時期はより慎重に検討する必要があるとの姿勢を示していますが、スコットランドへの不利益が明らかとなれば、その段階では改めて、「スコットランドの英国離脱」の動きが再燃しかねません。大いに注視したいところであります。
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