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2017-08-25 15:04
韓国人徴用工問題は常設仲裁裁判所での解決も選択肢
倉西 雅子
政治学者
先日、戦時中に挺身隊員として名古屋市内で“強制労働”をさせられたとして、韓国人女性とその遺族が日本国の三菱重工を相手取って損害賠償を求めていた訴えに対し、韓国の光州地裁は、同社に対して1200万円の賠償を支払うように命じる判決を下しました。予想されていたとはいえ、日本国側は、司法をも曲げる韓国の反日感情に当惑しています。
三菱重工側は、高裁への上訴の手続きを進めるそうですが、司法の独立が確立しておらず、しかも、親北派の文政権の下にあっては地裁の判断が踏襲される可能性が高く、たとえ最高裁にまで縺れ込んだとしても、地裁の判決が覆される見込みは薄いと言わざるを得ません。この種の問題は、公平性や中立性が欠けている韓国の司法制度での解決には無理があり、他の解決手段を探す方が解決への近道となりましょう。徴用工問題に関する日本国政府の公式の立場は、1965年の日韓請求権協定で解決済みとするものです。一方の韓国側も、韓国人の動員によって生じた未払い賃金については交渉の対象であることを認めています。一部ではあれ、今日、当時の日韓交渉の会議録が公開されていますが、1953年3月21日に韓国側から提出された『韓日間財産および請求権協定要綱、韓国側提案』の第5には、「韓国国民(法人を含む)の日本国あるいは日本国民(法人を含む)に対する公債、日本銀行券、被徴用韓人未収金およびその他の請求権を決済すること(日本語文)」とあり、この点は明白です。
となりますと、日本国側からしますと、韓国政府は、現在に至って当時の合意を反故にしたこととなり、これは、明らかに日韓両国において協定の解釈を争う法律問題となります。日本国政府としては、同協定の第3条に基づいて、外交上の経路を通じて解決できない場合の解決手段として定められている仲裁委員会の設置を提案することができますし、あるいは、国際司法裁判所(ICJ)への付託も選択肢となりましょう。しかしながら、第3条の仲裁であれ、ICJへの付託であれ、韓国政府の合意を得られない場合には、単独提訴の選択肢もあるものの、同問題の司法解決の道は遠のきます。また、日本国政府が司法解決に消極的である場合にも、韓国側の一方的な国内司法権の行使に一民間企業が抗うことは困難です。そこで、考えられるのは、上述した常設仲裁裁判所の利用です。同裁判所は民間企業にも訴訟の窓口を開いており、南シナ海問題と同様に単独提訴も可能です。この方法であれば、三菱重工、並びに、同様の問題を抱えている他の民間の日本企業も、韓国司法による不当なる政治裁判から自らを救うことができます。
戦後、日本国では、安全保障や韓国に対する配慮もあり、司法解決を忌避してきた感がありますが、韓国の情緒に任せたのでは慰安婦問題と同様に対日請求がエスカレートする一方です。平和的な紛争解決のモデルを構築し、法の支配を強化するためにも、政府であれ、民間企業であれ、日本国側が司法解決に踏み出すことには歴史的な意義があると思うのです。
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