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2017-05-12 15:57
日本がとるべき経済成長戦略について
真田 幸光
大学教員
私がいつもご指導を戴いている、元企業家であり、父上から受け継がれた企業を公開させたという企業経営の経験を持つ方は、常日頃から「大きな変化を求めない限り、経済の変革はない」と仰り、「例えば」と前置きしつつ、「自動車を無くすと言う世界を想定しつつ、コペルニクス的転換を求めるイノベーションをしなくてはならない」と仰っています。「閉塞感」のある日本、そして、先進国の現状を見ると、そのくらいの大胆な発想の転換をしないといけないかと思います。
しかし、それは、「それだけの発想の転換をすることは容易ではない。そしてまた、発想の転換ができたとしても、それを商品化した上で、ビジネスとして体系化していくことは更に難しい」という現実がある上、「転換させられる産業分野で生きている現在の企業、ビジネスマンの既得権を失うかもしれないという不安に基づく、転換を拒む力が働く可能性は大きく、更に実現は難しい」と言えるかもしれません。従って、こうした「大掛かりなイノベーション」は政治の力を借りつつ、国家戦略の中で図っていくべきかと私は考えています。また、それはそれで、少しずつでも良いので、具体化させるべく、進めていくべきかと考えています。
しかし、もう一方で、目先の変化を少しでも良いので実現させていく努力も必要かと考えています。匍匐前進ですね。例えば、これまでの常識から離れて「大量生産大量販売型の規模の経済性を追うビジネス」のみならず、製品単価が高い商品、サービスを扱う企業、業種であれば、「大量を求めつつも、少量、変量にも対応して、多品種、高品質、高利潤を求める。即ち、規模だけではなく、質に注目した経営にも注力する経営への転換を図る」ことも一策であると私は考えています。そして、それを新たな販売先に求めていき、経営を改善していく企業が増えていけば、じわじわと日本経済そのものも上昇気流に乗っていく、こうした「大規模な変革と小規模な変革を求めて、産官学金融労働界が一致団結して動いていくことこそが、アベノミクスに言う成長戦略であり、企業の売上高が増えていけば、自然に価格も上がる、これこそが真のデフレからの脱却となる」と私は考えています。
例えば、こうした中、昨年10月からANAグループは、機内食で培ったノウハウを生かし、家庭向けの食品販売事業を開始しました。「ファーストクラスやビジネスクラスの味を家庭でも手軽に楽しめる」というコンセプトで、改革に出てきたのです。この新事業のブランドは「ANAのおいしいコレクション」と言われ、その第1弾は「謹製おせち三段重」(税込み2万3,500円)と「おいしいスープセット」(9個入り、税込み5,400円)で、ANAのショッピングサイトで販売され、機内食で人気のパンやスイーツの販売も行われています。こうした、見た目には小さくても、地道な、しかし、地に足のついた変革と国家主導の大規模な変革を組み合わせた成長戦略の推進を日本は進めるべきであると最近、改めて感じています。
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