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2017-03-21 13:18
(連載1)中国本土の軍事的な動きについて
真田 幸光
大学教員
先般の中国本土の全国人民代表大会(全人代、所謂、国会に相当する)の議論の中で、李克強首相は、国家主席でもある習近平・中国共産党総書記が「党中央の核心」と位置づけられたことについて、党のみならず、政権の立場からも重大で深い意義があるとの主旨の発言を行いました。「核心」は中華人民共和国の政治指導者にとっては特別の意味を持ち、「絶対的な権力の象徴としての称号」とも言えるものであります。
私は、「中国人は総じて、他者が頭一つ抜け出し、権力を握ると、その他者に対して、勝負を挑むことをせず、不満があっても、基本的にはその他者に対して従属すると言う傾向がある」と見ており、そうした意味では、今後暫くは、少なくとも表面的には「習近平体制の権力基盤が相対的には堅固になった」との見方をしています。
また、こうした中開催されたこの全人代で、李克強首相は、冒頭の政府活動報告の中で、今年の国内総生産(GDP)の実質成長率目標を「6.5%前後」とすることを説明しつつ、高い経済成長率を保とうとすることによって、不要不急の投資が増え、それがバブルを生むといった懸念も高まっている中、最高指導部が入れ替わる今秋の共産党大会に向け、むしろ「政治の安定運営を優先すること」を内外に示し、その安定性と安全性を強調したと私は見ています。これにより、バブルは基本的に抑制、物価も安定させ、健全財政を示すという基本姿勢を中国本土政府・指導部が示したとも見ており、こうした点では、私は中国本土の経済政策運営姿勢を評価しています。
しかし、そうした中にあっても、中国本土政府が国防予算を拡大している点を、私はどうしても理解出来ず、これを不満に思わざるを得ません。中国本土は世界に冠たる覇権国家を経験した歴史を持つ国であり、「真の世界の大国として、尊敬できる言動を示して欲しい」と私は中国人に敬意を表しつつ、期待しているところでありますが、「現行の中国本土政府の現実との折り合いを求めた政策姿勢」の結果でしょうか、今の中国本土にはそうした真の大国の姿は垣間見られず、不満なのであります。(つづく)
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