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2016-08-03 13:57
中国は“中国版大陸逆封鎖”を怖れないのか?
倉西 雅子
政治学者
先月12日の仲裁裁判における“全面敗訴”を受けて、中国では、ケンタッキーフライドチキンをはじめとした米国系製品の不買運動が起きているそうです。尖閣諸島の国有化に際しては、日本製品不買運動に留まらず、反日暴動にまで発展しましたが、中国は、その先の展開を読んでいるのでしょうか。
かつてナポレオンは、イギリスを屈服させることができない焦りから、ロシア遠征の切っ掛けとなった「大陸封鎖令(ベルリン勅令)」を発し、対英経済封鎖を実施します。武力でだめなら経済力を削ぐことでイギリスを支配下に置こうとしたのですが、この時ナポレオンは、致命的な読み間違いをしています。“世界の工場”、“世界の銀行”、そして、“世界の市場”への階段の途上にあった“大英帝国”が経済力において抜きん出ていたため、対英依存度の高い大陸諸国が“逆封鎖”される形となったからです。
翻って現在を見ますと、北京政府は沈静化に乗り出してはいますが、外国製品の不買運動は、中国側としては、輸入面のみではあれ、自らが大陸封鎖令を発しているつもりなのでしょう。しかしながら、現在の中国は、産業革命で技術大国でもあった当時のイギリスとは異なり、競争力において抜きん出ているわけではなく、むしろ、技術面では劣位にある上に、貿易や投資面での対外依存度の高い国です。“世界の市場”と言えるほどまで消費市場が成長しているわけでもありません。
しかも、仲裁判決に無視を決め込み、断固として南シナ海の軍事拠点化を進めるならば、国際社会による対中経済制裁は現実のものとなることでしょう。つまり中国は、大陸封鎖したつもりが、逆封鎖さされることとなるのです(中国は頼みの輸出ができなくなる…)。果たして、中国は、国際社会の制裁としての“大陸逆封鎖”に耐えられるのでしょうか。
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