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2016-07-06 17:06
“中国包囲網”を自ら構築する中国
倉西 雅子
政治学者
先月9日、インドと中国との間の係争地であり、現在、インドの実効支配の下にある印北東部アルナチャルプラデシュ州に、人民解放軍が侵入したと報じられておりました。中国の積極的な軍事行動への警戒感が強まる中、先日は、中国軍艦が日本国の鹿児島県沖の領海に侵入しております。
中国は、東西においてほぼ同時に軍事的な行動を起こしたわけですが、両者の間には繋がりがあるのでしょうか。中国軍艦による日本国領海の侵犯については、日米印合同演習に参加していた航行中のインド艦隊を追尾、あるいは、監視するためであったとの指摘があります。中国軍艦はドンディアオ級情報収集艦であることも確認されており、何らかの軍事活動を行っていたものと推測されます。日本国から抗議を受けた中国側は、“法的に問題はない”と主張していますが、他国の領海で軍事的な情報収集活動を行っていたとしますと、国際法において認められている無害通航には当たりません。中国の行動は、明らかに国際法違反なのです。
中国は、国際法上の違法行為を承知で領海侵犯を行ったとなりますと、東西を隔てた二つの中国の軍事行動は、日米印に対する牽制であったと考えざるを得ません。おそらく、その背景には、近年、中国が、印パ関係においてはパキスタンへの肩入れを強めてきたこともあるのでしょう。中国は、日米のみならず、インドに対する“敵視”を、最早隠そうとはしていないのです。
中国の周辺国に対する軍事的な敵対行為は、国際社会に対して、これらの周辺諸国によって中国包囲網が形成されることの正当性を、中国自らが印象付ける行為でもあります。行動によって自らの危険性、あるいは、侵略性を露わにしているのですから。そして今後、軍事行動をエスカレートさせ、本格的に侵略を開始するとしますと、中国は、二正面戦争、あるいは、全方位戦争を自ら招くことになるのではないでしょうか。
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