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2016-03-30 14:35
アセアン諸国の行く末について
真田 幸光
大学教員
私は長年、アジア各国をテーマにして仕事をしてきました。銀行員として、韓国に駐在した1984年以来既に32年になりましたが、思えば、この間、プラザ合意のあった1985年以降、アジアNIESと言われた韓国、台湾、香港、シンガポールに始まり、東南アジアの先進五カ国、そして中国本土、更にはインド、後発でアセアンに加盟したベトナムやラオス、カンボジア、そしてミャンマーなどなど、また、忘れてならないのは、モンゴルや北朝鮮、はたまたロシアのシベリア地域やカザフスタン、ウズベキスタンなどの中央アジア諸国等々、「アジアには潜在的な可能性のある国々が割拠している。」と考えています。
実際に、日系企業も、各社それぞれの事情や状況に合わせて、進出地を検討し、そして、実際にビジネス展開をしていますが、こうした中で、私は、再びまた、「東南アジア」は面白いと見ています。私の尊敬する東南アジアの専門家の方は、このように仰います。「アセアンの国々は、全ての国々に心地よいスピードで、遅々として進む組織となっている。」と。ご高尚の通り、アセアンは、当初は中国人民解放軍の南下を恐れた軍事的組織の色彩が強く、シンガポールを軸に、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンが原加盟国となり、その後1997年にブルネイが参加、その後、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマーが加盟して10カ国となり、「アセアン10」などと言われています。
その構成員を見れば、一目瞭然、「経済力の強いところと開発途上のところ、法的な仕組みの整っているところと発展途上のところ、行政制度の整っているところと発展途上のところといった格差が歴然としている。」ということがはっきりと分かります。だからこそ、アセアン諸国間では、「域内諸国の調和」をモットーにして、「全ての国にとって心地よいスピード」を意識し、「皆が納得できるまで解決を急がず、じっくりと議論し、行動してきた。」と言えると思います。
しかし、最近になり、こうしたアセアン諸国に対して、「中国本土」がその経済力を背景にして、関係の深い国から、自らの陣営に取り込もうとする動きが顕在化しつつあり、「アセアンそのもの」の行く末に影を落とし始めているのではないかと私は見ています。「恐るべし中国本土」です。しかし、これに対してアセアンがどのように対応していくのかも注目です。そして、我が国日本はこうしたアセアンとそのアセアンに対するアプローチを強める中国本土を見ながら、日本独自の東南アジア戦略を展開してくべきではないでしょうか。
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