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2016-03-07 16:21
アジア金融市場安定のあり方について
真田 幸光
大学教員
世界には、実体経済を大きく上回る巨額の資金が放出されており、所謂「バブル経済」の状態になっており、その結果として、「行き場を失った余剰資金が投機性資金に化け、これが世界経済の混沌を深めている。」と私の目には映ります。従って、こうした状況にある時だからこそ、世界は皆、今、歯を食いしばって、「経済が一旦、縮小均衡に入り調整をしていくことを覚悟すべきである。」と私は考えており、そうした意味では、上杉鷹山公などが行った、「質素、倹約」に基づく、耐乏政策を、むしろ、経済大国が、大きな犠牲を払ってでも、率先実施すべしと思います。
人々には「欲」があり、これが容易ではないことを百も承知ではありますが、しかし、私はこうした耐乏政策を率先実施すべしと考えているのであります。しかし、そうは言っても、「現実との折り合い」は大切であり、その折り合いをつける一つの方策に、「金融市場の安定、就中、国際金融市場の安定」があげられるかと思います。そうした意味で、アジアの金融市場の安定の為の最近の動きは大いに注目すべきでありましょう。
即ち、今般、日本や中国本土、韓国と東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の13カ国が、通貨危機の警戒や対応にあたる「ASEAN+3マクロ経済調査事務局」(AMRO)を設立することになりました。AMROの本部は日中韓ではなく、シンガポールに置かれ、日本が主導する、国際通貨基金(IMF)のアジア版として、経済成長が続くアジアの金融安定化への寄与が期待されるものとなっています。そもそもは、1997年のアジア通貨危機を教訓に、これら13カ国の財務相が2000年、為替市場での投機的な動きや信用不安による国外への資金流出に備え、通貨防衛や国際収支危機への対応へ資金を融通しあう協定「チェンマイ・イニシアチブ」の創設で合意したものであり、更にリーマンショックを経て、2009年2月に多数の二国間協定を一つの多国間協定にまとめて、監視機関・AMROの設立で合意したことを母体としています。そして、この協定の資金枠規模は2014年には、2,400億米ドルに倍増されています。
新体制の初代事務局長は、根本洋一氏であり根本事務局長は、「より効果的に金融リスクに対応できる。」と強調しています。但し、その根本氏の任期は本年5月までであり、次期事務局長を含めて公募される新執行部人事は、加盟国の協議を経て決まることにもなっており、日本と並ぶ筆頭出資国である中国本土の人事に関する関心は極めて高く、今後はポストをめぐる日中間の争い、そして、「アジアに於ける通貨覇権を巡る争い」が、むしろ、一旦は高まり、アジアの金融界に不安要因が生じるかもしれません。様々な視点から、今後の動向をフォローしたいと思います。
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