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2016-01-18 12:56
中国の取引停止措置は“官製インサイダー”の温床に?
倉西 雅子
政治学者
先日、中国の上海や深セン市場では、株価の急落を受けて取引停止措置が発動されたことから、予想以上の混乱が発生したそうです。制度的な欠陥も指摘されていますが、この制度、“官製インサイダー”の温床ともなりかねないのではないでしょうか。
取引停止措置は、「サーキット・ブレーカー」とも呼ばれ、今月4日に導入されたばかりです。制度の概要は、株式市場において相場が急落した場合、中国証券監督管理委員会(CSRC)が、緊急措置として証券取引を停止する制度のようです。報道によりますと、「中国のサーキット・ブレーカー制度では、相場が5%下落した場合に取引を15分間中断、下落率が7%に達した時点で終日売買を停止とする」とされ、一先ずは、発動基準を設定して運営されています。
この制度では、株価情報の入手と売買の判断が早いほど“売り抜け”に成功する可能性が高くなるため、7日の発動では、停止前に売り抜けようとする投資家からの売り注文が殺到し、株価下落に拍車がかかりました。この“雪崩現象”は、取引停止制度の逆効果として指摘されていますが、CSRCの停止発令のタイミングもまた投資家にとりましては命取りとなります。この点、中国の行政当局の裁量権は得てして広く、かつ、政治的な腐敗体質が染み付いていますので、CSRCが、中立かつ公平な機関として機能するのか疑問なところです。昨年の上海株式市場の下落に際しても、共産党幹部だけは売り抜けたとする批判がありました。
CSRCは、この制度の運営を中止しましたが、中国市場は、一党独裁体制に伴う“人治”と“腐敗”のリスクに満ちています。経済の減速を背景に市場に対する中国政府の“介入”が強まっているとも指摘されており、株式市場での“官製インサイダー”にも要注意ではないかと思うのです。
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