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2015-08-17 13:29
戦後70年談話に対する中韓の反応から真意を読む
倉西 雅子
政治学者
8月14日の夕刻、安倍首相は、国民の高い関心を集めてまいりました戦後70年談話を公表されました。様々な方面から有形無形の要望や圧力を受けてきたため、苦心が滲み出るような文面であり、この側面を考慮しますと、解釈の幅が広くなることも致し方ないことかもしれません。
ところで、70年談話に対しては、中韓からも一定の評価が示されたとの報道もあります。しかしながら、その評価の内容や批判点を吟味しますと、両国が、70年談話において執拗に”侵略”、”植民地支配”、”謝罪”といった言葉に拘った理由が見えてまいります。
まず、中国の反応ですが、中国に対する一定の配慮を認めつつも、最も反発を示した点は、”…私たちの子や孫、そしてその先の世代の子供たちに、謝罪を続ける宿命を負わせてなりません”の件であったようです。この一文に対する拒絶反応は、中国が、未来永劫にわたって日本国が謝罪を繰り返すことを求めていることを示しています。つまり、談話に”謝罪”の言葉を入れれば中国との和解が成立し、以降、談話を出す必要もなくなるとする見通しは楽観的であったことが分かるのです。ですから、今回の70年談話に事実上の”打ち切り宣言”が含まれていたことは、極めて適切な判断であったと考えられるのです。次に韓国の反応を見ますと、韓国の場合は、要求してきたキーワードに言及したことなどを評価しつつ、”日本の誠意ある行動が必要”と畳み掛けています。この態度からも、韓国の真意が透けて見えます。韓国が言う”誠意ある行動”とは先の大戦を根拠とした賠償や補償の支払いであり、”日本国は責任を認めたのだから、賠償や補償に応じよ”ということなのです。韓国の反応からも、談話で譲歩すれば、韓国側は、以後、歴史問題について何らの要求も行わないだろう、とする予測が甘かったことが理解できます。韓国の談話に対する評価とは、対日要求のためのステップなのです。
加えて、両国は、国際社会の現状、並びに、未来志向の部分を完全に無視しております。この無視を決め込む態度は、今日、両国が、自由、民主主義、法の支配といった価値、並びに、植民地主義の否定などを、日本国のみならず国際社会と共有しようとしていないことの現れです。70年談話への反応として明らかにされた真意は、両国への譲歩や配慮は、もはや不要であることを示しているのではないでしょうか。
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