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2006-12-08 18:06

国内派に退場迫る防衛庁の省昇格

伊奈 久喜  新聞記者
 防衛庁の省昇格法案が衆院を通過し、今国会での成立が確実となった。経済企画庁、環境庁、国土庁……かつては大臣庁がたくさんあった。防衛庁だけがただひとつ大臣庁で残っていたのはいびつであり、省昇格は極めて自然である。昇格とひき換えというわけではないが、国際協力任務が本来任務になった。これは特に国内派の多い陸上自衛隊に意識改革を迫る。
 
 12月2日、横浜の東洋英和女学院大学で開いた国際安全保障学会で講演した北岡伸一東大教授(前国連大使)は、大使時代のアフリカ出張を語り、日本のPKOの現状に対する不満を述べた。国連基準では日本のPKOはわずか30人。世界で80位。主要国で最低だという。
 
 以前、当政策掲示板「議論百出」でも書いたかもしれないが、昨年スーダンへのPKOを要請されたとき、政府は調査団派遣でお茶を濁した。防衛庁は調査団に職員を送ることさえ拒否した。「防衛庁職員が行けば、派遣を前提とした調査になる」と防衛庁高官は語った。陸上自衛隊の意向をおもんぱかったのだろう。陸上自衛隊は依然として国内派が主流派である。平家・海軍・国際派、源氏・陸軍・国内派のたとえは生きている。陸上自衛隊、防衛庁内局、ともに国内派が牛耳る。省昇格は彼らの功績かもしれない。しかし国際協力の本来任務化は彼らに退場を迫っている。
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