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2014-07-31 10:21
サッカーW杯のロシア開催ボイコットの動き
飯島 一孝
ジャーナリスト
ウクライナ東部のマレーシア航空機撃墜事件を巡り、欧米とロシアの非難合戦がヒートアップしているが、欧米側から早くも2018年にロシアで開催されるサッカーW杯をボイコットする動きが出ている。これに対し、FIFA(国際サッカー連盟)が反対声明を出し、沈静化に努めているが、ウクライナ東部で続いている戦闘が止まない限り、ボイコットの動きが強まるのは必至の情勢だ。ロシアからの報道によると、ドイツの複数の政治家が先週、FIFAは次期サッカーW杯の開催が予定されているロシアを再検討すべきだと発言した。これを受け、マレーシア航空機撃墜事件で193人が犠牲になったオランダのサッカー協会はロシア開催が妥当かどうかについて近く討議が始まると述べた。
ロシアが世界大会の開催地になると、必ずと言っていいほどボイコット運動が起きる。今年2月のソチ冬季五輪を巡っても、ちょうどこの頃、ウクライナ紛争が激しくなり出したため、欧米諸国からボイコットの声が上がった。東西冷戦はとっくに終わっているのに、いまだに冷戦の亡霊が徘徊しているからだろうか。今回のボイコットの動きについて、ロシアの有名なスポーツサイト、Sports.ru のドミトリー・ノボシャ編集長は「ロシアにさらなる制裁が科され、西側との関係が改善されなければ、開催地が他国に移るという最悪の事態も起こりうる」と心配している。
2018年は次期大統領選の年で、プーチン氏が大統領としてサッカーW杯を迎えるためには再選されることが必須条件だ。今年6~7月に行われたブラジル大会の決勝戦にプーチン氏がわざわざ出かけたのは、単に次期大会の引継ぎに行っただけではなく、次期大会を自ら仕切ることを内外にアピールするためだったことは否定できない。
今回のウクライナ紛争でプーチン大統領への非難が強まり、シリア紛争などでの「外交的勝利」は吹っ飛んでしまった。この逆境をプーチン政権はどうやって覆すつもりなのか。大統領の命運がかかったウクライナ紛争の“落としどころ”探しが、クレムリン内ですでに始まっているに違いない。
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