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2014-05-19 05:52
自民党は池田大作を証人喚問せよ
杉浦 正章
政治評論家
どうやら創価学会は半世紀前、言論出版妨害事件で会長・池田大作(現名誉会長)が陳謝し、政教分離を約束したことを忘れて、堂々と政治に介入し始めたようである。絶対平和主義を唱える学会婦人部の意向を反映してか、広報室が「集団的自衛権を限定的にせよ行使するという場合には、本来、憲法改正手続きを経るべきであると思っている」と、政府の集団的自衛権の行使容認に真っ向から反対するコメントを打ち出したのだ。問題は、この方針の下に公明党代表・山口那津男が、意固地なまでに集団的自衛権の行使に反対する姿勢を貫こうとしていることである。これは明らかに憲法が禁ずる宗教団体による政治介入に当たり、公明党は再び「政教分離」を明示する憲法違反に立ち戻ることを意味する。事は、それこそ立憲政治にを揺るがす由々しき問題である。自民党は池田ら学会首脳を証人喚問して、事の真相をただすべきであろう。
創価学会の言論出版妨害事件は、筆者が政治部記者として担当したからよく覚えているが、1970年前後に発生した。新宗教団体・創価学会と、これを支持母体とする公明党が自らに批判的な書籍の出版、流通を阻止するために、あらゆる手段を講じて圧力をかけたのだ。ついに新聞、出版との一大対決となり、マスコミは言論活動の危機であるとの観点から猛烈に公明党、創価学会批判を展開した。政党にも当時学会会長であった池田の証人喚問を要求する動きが台頭した。この結果、池田は全面降伏して、公式に謝罪。今後「政教分離」で対処する方針を誓った。以来、自民党は、公明党が問題を起こす度に池田の証人喚問をほのめかして、圧力をかけてきたが、これは“特効薬”として利いたものだ。しかし最近ではこれが全く忘れ去られ、国家の命運を決める集団的自衛権の行使問題に学会広報部が堂々と声明を出すに到っている。自民党はこの証人喚問の“奥の手”を再び活用すべき時である。
世界の民主主義国の基本的概念である政教分離については、日本国憲法にも「政教分離」の言葉はないが、根拠となるべき明確な条項がある。その代表例が第20条1項、3項などだ。1項は「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」とあり、3項は「 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」と定めて、政教分離をうたっている。奈良時代の道鏡の昔から「坊主が国の政治に口を出すと末期症状となる」といわれてきたが、宗教団体による政治介入は民主主義の根幹を揺るがす問題である。政府自民党は5月20日からの公明党との折衝で、創価学会の政治介入について説明を求めるのが筋だ。1宗教団体の方針によって、国家の基幹となるべき安全保障問題が左右される事態は由々しいことであり、まずこれを排除した上でないと、憲法違反をそのまま容認した論議となりかねない。そもそも公明党の山口は弁護士でありながら、牽強付会(けんきょうふかい)な憲法論を展開している。その著しい例が、安倍が集団的自衛権行使の事例として説明した「朝鮮半島有事に日本人が運ばれている米艦船の警護」の例だ。山口はが「警察権で可能だ」という。しかし、北朝鮮が米艦船を攻撃する能力は事実上ミサイルしかない状況であろうが、ミサイルの飛来する宇宙空間は宇宙条約第2条で「宇宙空間に対してはいずれの国も領有権を主張できない」としており、国内法が適用できるわけがない。
幹事長・石破茂は今後の公明党説得に当たって、上述の米艦船警護、グアムに飛ぶミサイル迎撃、戦時の機雷撤去など具体例を挙げて、その是非を問う構えだ。集団的自衛権を行使するかどうかは棚上げしておいて、まずこうした安全保障上の対応について合意を得た上で、その法的措置の在り方を協議する。安全保障上の常識で一致しておいて、その実行のための法律作成をどうするという段階で、恐らく政府専門家側の見解を聞き、「個別的自衛権の適用では不可能」という流れを作ろうというのだ。いわば“からめ手作戦”である。これはうまい方法だ。一方で石破はテレビで「公明党を閣外協力にして集団的自衛権の行使を図るべきだ」との質問に対して、「今から閣外協力と断定すべきとは思わない」と微妙な回答をしている。「今から」を付け加えたことは、将来はあり得ると言うことにもつながるのである。野党の状況は、維新とみんなが18日のNHKで賛成を鮮明にさせた。この結果法制化した場合、賛成の政党は衆院で355議席、参院で141議席となる。公明は衆院31議席、参院29議席であり、数の上からは“発言権”は小さい。圧倒的多数が賛成する流れとなった。閣外協力説に加えて、池田の証人喚問で圧力をかけられたら、山口もしょせんは妥協に向かわざるを得まい。
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