そこで会談の内容だが、さすがに国務省や国防総省は日米同盟関係の強化維持に異論はない。問題は今は落ち目のオバマの動向だ。11月4日の中間選挙を控えて、何とか点数を稼ぎたいと思っている。ニクソンもそうであったが、米国の大統領にとって対中関係改善は大仕事であるだけに、人気につながるのだ。つい誘惑に駆られる。そこでオバマは昨年11月20日に、側近の大統領補佐官(国家安全保障担当)スーザン・ライスに命じて、「中国に関しては、われわれは新型大国関係を機能させるよう目指す(When it comes to China, we seek to operationalize a new model of major power relations.)」と明言させた。ジョージタウン大学での「アジアにおける米国の将来」と題する講演の中で述べた。この動きはもっとも気になるところである。と言うのも、新型大国論は中国国家主席・習近平が昨年6月の米中首脳会談で唱えたもので、いわば米中のG2による太平洋分割論でもある。その内容は、米中2国が衝突を避け、双方の核心的利益を尊重し、ウインウインの関係を構築しようというものである。言ってみれば、アジア太平洋地域を米中の2大国で共同管理しようということだ。ライスは訪米した外相・岸田文男に対しても「米中間の一定の協力」推進に理解を要請しており、どうも臭いのだ。