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2014-01-17 18:07
日中対話「『新空間』の日中信頼醸成に向けて」に参加して
池尾 愛子
早稲田大学教授
1月16日、「日中対話:『新空間』の日中信頼醸成に向けて」がグローバル・フォーラムと日本国際フォーラムの共催により都内で開催された。新しい空間とは、宇宙空間、サイバー空間、北極地域を指し、これらの新空間が新しい課題になっているのである。3つの空間とも実際には理系エンジニアの活躍によって構築されており、技術進歩が著しい空間である。北極地域の「新空間」はもちろん「地球温暖化あるいは気候変動の副産物」としてもたらされているのだが、新航路にせよ海底資源にせよ、北極海沿岸諸国や新興国によっては魅力的なフロンティア(開拓対象)が融氷とともに姿を現したとみなされているようだ。
サイバー空間は確かにアメリカによって発明され、当初は国防目的の利用に限られていたが、1990年頃から商業利用が始まった。ウェブサイトが構築され、アクセス制限が技術的に可能になって、用途が一段と広がった。サーバ(高性能のコンピュータ)や通信ネットワークの進歩に支えられて、スマートフォンやタブレットまで一挙に普及した。サイバー空間へのアクセス・利用が容易になって、現代人のビジネスや生活の基盤の一部になるとともに、グローバル化のいっそうの進展を支えている。今や、サイバー空間の安定性と安全保障(セキュリティ)は社会的な課題である。
宇宙空間の利用については、科学研究の成果が実証されるようなイメージを人々に与えながら展開し、現在でも宇宙開発には高度な技術を必要としている。宇宙開発を進められることは、高度な科学技術をもっていることの証左とみなされるのであろう。惑星・小惑星の探査や実験衛星により人類の科学的知識が増大する一方で、通信衛星によってビジネス機会が飛躍的に拡大した。他方で、使われなくなった衛星の処分にはより高度な技術を要しているようだ。
宇宙空間とサイバー空間の利用は安全保障面と商業面で重なりあう部分があるものの、3つの新空間を一緒に論じていると、ブレイン・ストーミングをしているような気分になった。今後中国の研究者たちとも一層広範な分野での国際的な研究交流が闊達に進められることを期待したい。
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