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2006-10-25 13:36

日本の国際的発進力を高めよう

長谷川 和年  日・豪・ニュージーランド協会会長
 安倍首相の今回の訪中・訪韓に対して、心から賛辞をおくりたい。「政治」とは、結局は現実対応の術である。高い視点から、国策をふまえて行なわれた中・韓両国首脳との対話の結果、先方も、「ふり上げた拳」をおろすことが出来たのではないかと思う。今回の快挙が、日中、日韓関係の今後の発展の重要な礎となることを信じて疑わない。
 
 「困難」な相手とは、常に対話を続けて、相互理解関係を築くべきである。私は、外務省の政策企画局長時代に、毎年渡欧し、英、仏、独の担当局長と意見交換するのを常としていた。このようなある時、偶々、私が英国の外務次官と次官室で会談をしていたら、外から電話がかかってきた。「席をはずさなくてよい」とのことであったので、その会話を聞いていたが、その終了後、次官は「今の電話はフランスの外務次官からだ」と前置きして、以下の話をした。「英国の外交で重要なのは対米関係と対仏関係である。フランスは大陸ヨーロッパの外交の核である。従って、英国の対西欧関係においては、フランスと常に意思を疎通し合うことが肝要である。かかる視点から、自分とフランスの外務次官は、このように毎週一回必ず電話で話し合うことにしている。それが懸案に関する時もあれば、そうでない時は、最近のコンサートについてのコメント交換の時もある。いずれにせよ、これは極めて重要なプラクティスとなっている」とのことであった。

 日中間でも、このような隔意のない対話関係を築き上げることが必須であると信ずる。形式的な対話でなく、普段に、自由に意見を交換し、実務者同志で、深い相互理解の関係を育て上げるよう、強く要望したい。
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