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2013-02-07 06:59
慎太郎の「どこまでやるの」が始まる
杉浦 正章
政治評論家
江戸時代の戯れ歌に「家康に過ぎたるものの二つあり、唐のかしらに本多平八」がある。唐のかしらとは、中国より渡来してきた「ヤク」の角を配した兜のことだそうだ。これを現代に当てはめると、さしずめ「日の本に過ぎたるものの二つあり、活断層に石原慎太郎」か。もちろんこの場合の「過ぎたる」は、家康の「良すぎる」とは違って、「悪過ぎ」のこと。その慎太郎が、2月12日にいよいよ予算委員会の代表質問に初デビューする。かねてから「若い連中と議論しても怖くねえ。最近は体を張って、殴り合いになってもいいから、議論するという風潮がなくなった」と嘆いているが、何を“企んで”いるか、興味が湧く。とにかく去年の4月には「尖閣列島を都で買う」と宣言して、日中関係をここまで毀損した張本人だ。その敵対的なナショナリズムはとどまるところを知らない。
中国では、尖閣を巡る日中対立は石原の陰謀によるという見方が定着している。尖閣をネタに米中対立をあおり、その間隙を縫って日本の軍事的な再台頭を狙っているというのだ。確かに石原の極右国粋主義思想の根源には、憲法破棄・原爆保有・徴兵制実施が厳として存在しており、折に触れてこれが吹き出す。中国の見方は当たらずといえども、遠からじだ。「寸鉄人を刺すような文章は、俺はうまいんだ」。最近石原はフォロワー100万人の橋下徹のツイッターに刺激されてか、自分でもツイッターを開設した。1月25日の1回目の書き込みで、「安倍内閣は、公明党と肩を組むまま果たして、諸悪の根源の憲法を改正出来るのだろうか」「世界で孤立し軽蔑にさらされている原因の憲法を今変えなければ、この国は沈んでしまう」と持論を展開。その主張には石原信者たちがしきりに“おべっかフォロー”をしている。
ところが、最近こてんぱんの目に遭っている。逆に石原が“寸鉄”で刺されているのだ。石原が「日本は核を持たなきゃだめですよ。もたない限り一人前には絶対扱われない。世界の国際政治を見てごらんなさい。なんだかんだ言いながら、核を持ってる人間は、マージャンでいえば一翻(イーファン)ついてて上がれる」とアップした。これに対して「ふざけるな。核なんて使っていたら、また戦争になるじゃないか。核なんて持ってなくても、一人前にはなれる」「何がイーファンだよ!頭が劣化ウランだ!」といった具合だ。国際政治への無知丸出しの石原の主張に、さすがのネトウヨたちも、ついていけないようである。そもそも、この石原の思想と維新の理念がマッチするかと言えば、全然マッチしない。原発問題がよい例だ。石原を信奉する国会議員団代表・平沼赳夫は、代表質問で事前に橋下と打ち合わせた内容を、明らかにわざと飛ばしてしまったのだ。事前調整では、「原発の安全基準、安全確認体制を明確に定めることが大前提」などとしていたが、「時間切れ」との理由で割愛した。橋下らが脱原発依存の立場なのに対し、石原ら旧太陽の党メンバーは原発推進を主張している。こうした路線上の対立は、今後必ず火を噴くだろう。
煽(あお)って火を噴かせようとしているのが、みんなの党代表・渡辺喜美だ。総選挙前に維新と合流直前までいったのに、石原にトンビにあぶらげをさらわれて、頭にきているのだ。とりわけ維新と候補者調整ができなかったおかげで、長年かけてようやく仕上げた候補を、どこの馬の骨か分からない維新候補に落とされて、恨み骨髄に徹しているのだ。最近合流の条件として石原・平沼らの離党を挙げたと言われている。その渡辺に国会の廊下で会った石原が「青嵐会では、おまえの父親と一緒に物事に判断を下していた。早く決断しろよ」と合流を促した。渡辺がお茶を濁していると、石原氏に「最近は癖のある政治家がいなくなったが、おまえは癖がありすぎだ」とまで言われてしまった。だらしのないことに、渡辺氏は「はいっ」と答えたのだという。どうも2代目というのは内弁慶が多くて、情けない。仮にも国会議員に対して、「お前」呼ばわりとは何事か。「本当に引っ掻き回すからな。この国会を」と予算委質問に向けてご老体は勢いづいている。しかし平沼の代表質問といい、石原の言動といい、維新のイメージはますます時代錯誤の“保守反動”ペースなって行きそうだ。橋下が総選挙では庇(ひさし)を貸したが、石原票は全くふるわず大失敗。それにもかかわらす橋下は、石原に母屋を乗っ取られて「踏まれてもついてゆきます下駄の雪」なのだろうか。
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