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2012-09-23 00:14
民主代表選は「消化試合」だった
尾形 宣夫
ジャーナリスト
民主党代表選は予想通り野田首相の〝圧勝〟の形で終わったが、終始盛り上がりに欠け一皮むけば民主党が抱える問題の根深さを改めて浮き彫りにした。もともと今回の代表選は、急きょ浮上して有力な対抗馬になると見られた細野環境相(原発事故担当相)の出馬断念で「消化試合」となることは明らかだった。強いて注目するとすれば、消費増税に突っ走った野田政治に真っ向から反対した対抗馬の赤松、原口、鹿野の3氏の得票数・ポイントがどれくらいになるかだけだった。
野田は地方関係で7割を獲得し現職の強みを見せたが、問題は国会議員票の動きだった。党内有力議員、グループを味方につけた野田首相だったが、投票結果は野田211票、赤松元農相40票、原口元総務相31票、鹿野元農相43票と、「反野田票」は110票を超えた。野田首相は勝つには勝ったが、〝孤独の勝利〟と言っていい。逆に対抗3候補は事前の予測を大きく上回る得票を手にした。野田勝利の陰であまり目立たなかったが、党員・サポーターの投票率が30%台に激減、地方議員のそれも70%台に急減した。民主党がいかに仲間内からも見放されていたかということだ。
党所属議員の3分の1が反野田だった意味は大きい。反野田票は全て抵抗勢力ではないにしろ、反野田議員の動き次第では衆院でも過半数を割る可能性が現実味を帯びたということだ。首相は再選後の記者会見で政権運営にあたっての党内融和を改めて強調した。さらに「私には私心は全くない。この国を愛している」と語って見せた。いかにも情緒的な言葉が好きな首相らしいパフォーマンスだったが、現実の政権運営の難しさを色濃くにじませたと言える。近く党役員人事を済ませた上で内閣改造にも取り組む。党内3分の1に達する反野田陣営を党役員人事や内閣改造でどう処遇するのか。さらに首相が会見で言及した「一回生議員の登用」は何を意味するのか?
10月早々にも開会される臨時国会を見据えた政権運営に当たって、解散・総選挙に脅える1年生議員の〝右往左往〟は日に日に高まっている。これが離党に走り出したら目も当てられない。衆院の過半数割れも現実となる。「さまよえる1年生」に気を配った首相のスタンスが、今後の政権運営の難しさを浮き彫りにしている。今日の代表選で民自公の3党合意の「近いうち解散」が具体的に頭をもたげる可能性は高い。自民党総裁選は来週後半に結果が出る。臨時国会は再選された野田首相の新たな苦難の始まりとなる。
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