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2012-08-10 06:22
野田は「輿石切り」で総選挙に臨め
杉浦 正章
政治評論家
解散見通しは長年の経験で研ぎ澄ました動物勘があるかどうかによって左右される。この時点でいまだに解散は来年とか任期満了とか言っている政治家やマスコミがいるが、きっと東大出のひたすら偏差値の高い人か馬鹿なのだろう。偏差値が高い人はまず動物勘がない。東大出ではなく、都留短期大学初等教育科卒だが、民主党幹事長・輿石東も、偏差値が高いのか、動物勘に欠ける。動物勘だけではない、諦観にも欠ける。遅かろうが、早かろうが、選挙惨敗必至なのに、まだ解散を先延ばしにしようとする。幹事長がこれだから、民主党は選挙に向けての準備のフル稼働もできないでいるのだ。こともあろうに、首相・野田佳彦が命がけで野党との党首会談に臨み、やっと消費増税法案の成立にこぎ着けたのに、その会談合意に“ケチ”をつけ続けているのが、輿石だ。そもそも輿石は、党首会談自体に反対していたが、実現してしまうと、今度はその内容に難癖をつけ始めた。合意のキーポイント「近いうちに信を問う」に関して「言葉にこだわる必要はない」「無視すればいい」と真っ向から否定したのだ。普通なら、幹事長の発言だから、合意がご破算になってもおかしくない。あわてて官房長官・藤村修が「首相発言は重い」と打ち消した。ところが今度は、こともあろうに野田と谷垣が“クビ”になるケースまで言及したのだ。
「2人がいなくなれば、2人の話は終わりでしょう。継続していると考えるなら、その時点で再度党首会談をやったらいい」と、“究極”の「首相ないがしろ」発言をしたのだ。谷垣がクビになるというのなら、まだ舌戦のうちに入るが、自分がかって再選支持の発言をした野田が「いなくなる」はひどい。まるで野田への対立候補擁立をけしかけているようではないか。本来なら辞任覚悟でする発言であり、幹事長職にとどまっていること自体がおかしい。これにはさすがに紳士的な谷垣も民放テレビで、「こんなばかな発言をしている人が与党幹事長とは信じられない。めちゃくちゃな発言だ。議会制、政党制を否定する発言だ。この人は政党政治を全く分かっていない」と激怒した。一方幹事長・石原伸晃は「党首会談で決まったことをナンバー2が『無視すればいいんだ』と言ってしまえば、物事は成り立たない。不誠実な政党であることは明らかで、このような政党が国政を牛耳るのは、国民にとって不幸だ」と反発した。野田と輿石の不協和音は拡大の一途をたどっている。その原因は、輿石が冒頭述べたように、動物勘と諦観に欠けるからだ。動物的直感と言えば、極めてアナログに見えるが、究極のコンピューターは、人間の動物勘を何処まで取り入れられるかが、今後の発展のカギと言われている。その動物勘でみれば秋の臨時国会解散がまっとうな流れであり、読売、毎日、産経、日経が「秋」のトーンで書いているのも、根底には動物勘がある。
朝日は理詰めだから、そこに欠ける。8月9日の朝刊で、なんと任期満了選挙まで入れたシュミレーションをしていたかと思うと、10日には「会期末解散視野に奔走」と揺れた。いずれもない方向だろう。会期末解散説は、定数是正が実現していないから困難であり、麻生太郎あたりの発言に踊らされてはいけない。マスコミが間違うのは勝手だが、一党の幹事長が政局の重要ポイントで判断力を欠いてはいけない。なぜならその最大の仕事は選挙対策であり、幹事長が解散を否定していては、選挙準備が整わないからだ。また、なぜ輿石が諦観に欠けるかと言えば、民主党がどうあがいても選挙には勝てないという構図を理解できないからだ。3年前の総選挙は、政策でも何でもない。「反自民の風」が浮動票となって民主党に舞い降りたのであり、その風は野田以前の2人の首相の体たらくによって、そよとも吹かなくなった。それどころか、逆風が吹きすさんだ。主要自治体選挙で民主党がもはや勝つことはなくなっているのだ。この構図は簡単には解消しない。輿石は衆院議員の経験もあるのに、解散のない参院にどっぷりつかっていると、その辺の構図が理解できなくなるのだ。だいたい参院議員の幹事長などは、能力的にも基盤から見ても無理なのだ。
おまけに輿石は、ピンキラではないが、「忘れられないの。あの人が好きよ」なのだ。小沢一郎のことを「あんないい人がいじめられておかしい」と発言するほどの、のめり込み方なのだ。野田は、もう再選が済んだら、改造をして、「輿石切り」に踏み込むべきだ。もともと輿石は、小沢へのバランスを考慮して起用したものであり、小沢がいなくなった以上幹事長にとどめておく価値はなくなった。輿石が長く続くほど、民主党にとってはマイナスに作用する。懸念されるのは輿石が「0増5減」の選挙改革を人質にとって、成立を遅らせ、解散先延ばしの材料に使っていることだ。加えて暗い印象の輿石が「顔」では、選挙ができない。輿石を差し替えて新体制でイメージを一新させて、前原誠司など選挙の顔になる新幹事長を据えて、総選挙に臨むべきだ。それが民主党惨敗を少しでも食い止められる道なのだ。
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