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2006-07-24 09:26
絶対的貧困と若年労働者問題の早急な解決を
青山 茂
会社員
ASEANの経済発展途上にはまだ多くの課題が存在すると言われていますが、特に絶対的貧困の克服と若年労働者問題の解決が喫緊の課題であると考えます。世界最高レベルの生活水準を享受する多くの日本人にとっては、もっとも生活実感のない問題ですが、まずその実態について正確な認識をもってもらいたいと考え、下記のとおりその実態について一文を投稿します。貴フォーラムの次回の「日本・ASEAN対話」でも、この問題について突っ込んだ意見交換を行ってほしいと思います。
先ず絶対的貧困についてですが、世銀の基準では一日の一家族当たりの収入が2ドルから1ドル以下の状態を絶対的貧困としています。ASEANの場合、ミャンマーやラオスの山岳地帯に住む少数民族は殆ど貨幣経済の枠外で生活しているので、実際の生活状況は統計が示すよりも豊かであると思われますが、先の世銀の基準によればヴェトナム、カンボディアでは絶対的貧困のカテゴリーに夫々の人口の20パーセント以上が含まれるとされています。ヴェトナムは多くの少数民族を抱えていること、カンボディアは戦後復興が遅々として進んでいないことが原因であると思われます。反面工業化が進んでいる他のASEAN諸国の平均は10パーセント前後です。インドネシアでは1997年の金融危機以前は11.2パーセントであったのが、金融危機後には20パーセントに急上昇しています。これはインドネシア経済の脆弱性を示すものとも考えられます。
次に若年労働者問題があります。これは放置すれば治安の一層の悪化を招く恐れがあり、早急に対策が講じられるべき課題であります。我々がASEAN諸国の都会で良く見かける路上での物売り、零細な小売商、路上芸人、駐車場での交通整理等の所謂インフォーマル・セクターにおいて若年の女性、子供の労働者が多数を占めています。ミャンマー、ラオス、カンボディアでは10歳から14歳の子供のうち20パーセントがインフォーマル・セクターで働いており、他方工業化が進んでいるインドネシアで9パーセント、フイリピンで6パーセント、マレイシアで3パーセントとなっています。このような若年労働について欧米人は、19世紀初頭の産業革命初期に欧米で見られた現象であり、200年を経てなおASEAN諸国に残っているのはASEAN経済の後進性を示すものであると指摘しています。
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