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2006-07-16 10:50
違和感を感ずるミサイル問題への韓国の対応
杉森容子
団体職員
7月5日の北朝鮮によるミサイル連続発射問題について、国連安全保障理事会は15日午後公式会合を開き、日米などが提出した北朝鮮のミサイル発射を非難し、同国のミサイル・大量破壊兵器開発に関連する物資・技術・資金の移転などを阻止するために「必要な措置を、加盟国に要求する」決議案を全会一致で採択しました。日米は当初、経済制裁などを可能にする国連憲章7章を明記した決議案を作成しましたが、中国・ロシアが「7章決議」に強硬に反対、とくに中国は拒否権行使も辞さない構えを見せたため、安保理の分裂を懸念した英国・フランスが7章を削除する代わりに「国際平和と安全の維持への安保理の特別の責任」を明記する妥協案を提示し、日米も土壇場でこれを受けいれたものです。
私がこの問題をめぐる連日の各国の動きを見ていて違和感を持ち、ここで特記したいのは、韓国の対応ぶりです。報道によれば、韓国大統領府は7月9日に北朝鮮のミサイル連続発射問題について、「強いて日本のように未明から大騒ぎする必要はない」とし、日本の対応に否定的な見方を示しました。さらに盧武鉉大統領は、「日本の政治家らによる先制攻撃発言により事態がさらに悪化する恐れが出てきた。日本のこうした態度は東北アジアの平和に深刻な影響をもたらす」として、日本を非難しています。さらに米国に対しても、金融制裁などの対北朝鮮政策を厳しく批判するとともに、日米が提出した制裁決議案は根拠が不十分だとしています。
韓国は、北朝鮮のミサイル連続発射問題を非難するのではなく、それに対応しようとする日米を非難しているのです。北朝鮮はこの騒動の最中にも、国際社会で非難を浴びているベネズエラ・チャベス政権にミサイルを輸出しようとしていますし、数ヶ月前にも核開発関連でイランと接触した疑惑がもたれているのです。韓国はミサイル連続発射直前の7月4日に、韓国を通すことによって北朝鮮に送金を自由に行える「対北朝鮮投資などに関する外国為替管理指針の一部改正案」を発表しました。また、北朝鮮のミサイル発射と時を前後して、竹島近海の日本の排他的経済水域(EEZ)内で海洋調査を強行しました。
このような韓国の一連の言動を見ていると、韓国は日米と脅威認識を共有しないだけでなく、理念や価値観も異にする国である、さらに言えば、むしろそれらを北朝鮮と共有している国であるとの思いを抱かざるを得ません。拉致問題において、同じ立場の日本と協調するよりも、北の主張に同調することを優先しているのも、その一例です。盧武鉉大統領が、一人の政治家として無能であるか、無能でないのならば無責任であることは明白だと思います。もし盧武鉉大統領が韓国国民の意見を真に代表しているというのであれば、日米は北朝鮮だけでなく、韓国もまた潜在的には「国際平和と安全の維持」にとって有害な存在であると断定せざるを得ません。そうならないように、賢明なる韓国国民が「盧武鉉は間違っている」との声をもっと明確にあげてほしいと思います。
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