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2011-09-07 07:25
「ドジョウひと筋」の高支持率では低落する
杉浦 正章
政治評論家
「どじょう」の話しを聞いたトタンに、直感で「60~70%」の支持率と書いたが、当たった。政局予報士試験に合格だ。しかし、ドジョウ宰相が、演歌・お吉物語のように「鳩さんも落ちた。菅さんも落ちた。今度は私の番なんだ。お酒だよ。お酒おくれッ!」となるかというと、なるのだ。なぜなら内閣支持率には法則があって、就任当初の支持率を後の支持率が上回ることはない。野田の場合、流行語大賞にもなりそうな「ドジョウひと筋」で勝ち得た支持であり、2の矢、3の矢の大得点要素はおそらく出てこない。だから朝日川柳の<なんとまあ、愚かな民よ、また夢見>という大傑作が生まれる。歴代首相のあだ名が支持率にプラスに作用したのは、佐藤栄作の「団十郎」と田中角栄の「コンピューター付きブルドーザー」くらいのものだろう。岸信介「昭和の妖怪」、大平正芳「アーウー」、鈴木善幸「暗愚の帝王」、中曽根康弘「風見鶏」、小渕恵三「凡人首相」、鳩山「ルーピー」、菅「ペテン師」など、いずれもマイナス効果であった。しかし、佐藤はその後、沖縄返還で一時盛り返したものの支持率の長期低落、田中は急落に苦労した。野田もその例を踏襲するだろう。
しかし、同じ右肩下がりでも佐藤のような徐々に下がるのと、田中のように急落するのとでは、政治的意味合いが全く異なる。野田は急落型と言うより、じわじわ型ではないか。全国紙の内閣支持率を見ると、朝日53%、読売65、毎日56、日経67で、産経59.9、共同62となった。民放には70%台も多い。共通してる重要ポイントは、政党支持率が内閣に連動して上がり、読売の民主28%、自民23%のように、これまでと逆転したことであろう。国民は当面「代表選を行った民主党」に目が行っており、「小沢一郎のいる民主党」は忘れている。だから慌てているのは、自民党だ。7月には秘密裏調査で民主党と支持率で大きな差が出て、具体的な選挙情勢にも反映、単独政権復帰も夢ではない状況となって、解散に追い込もうとした。それが逆転である。自民党総裁・谷垣禎一の9月6日の発言もびびっている。「一刻も早く解散に追い込む方針は、みじんも揺るがない」と語ったが「みじんも」と付け加えたのがその証拠だ。
党内では評判が悪いが、政調会長・石破茂の発言の方が正直だ。石破は「国民の皆さんが、野田内閣が何をやるかちょっと見てみようという時だ。私たちは声高に『解散、解散』」と言うよりも、一つひとつ政策を点検しないといけない 」と述べている。もっとも、クールもいいが、政治は弾みであり、政権を追い込もうという意気込みがなければ、野党は廃業した方がいい。石破は頭がいいが、どうもマスコミに流される傾向がある。なぜ、野田の支持率低落がなだらかなものになりそうかというと、「失政大王」鳩山と「ペテン大王」菅の“逆張り”に徹しているからだ。筆者は、先に野田の記者会見を見て、「自民党化」路線を指摘したが、政調会長の権限拡大に次いで、6日は事務次官会議の復活だ。野田は事務次官を集めて、「政治家だけでこの世の中を良くすることはできない。みなさんの全力を挙げてのサポートが必要だ」と協力を求めた。震災対応の「連絡会議」として事実上復活していた事務次官会議を継続し、毎週開催する方針だ。党は政調重視、政府は次官会議重視。これは自民党政権そのものであり、政権安定要素となろう。
官僚も野田への協力姿勢を強めているものが多いようだ。財界は、経団連会長の米倉弘昌が6日、訪問先の北京で「今回、本当にいい方が首相になっていただいた。ドジョウ内閣をもっと、もっと支えていきたい」と手放しで、“応援団長”を買って出た。谷垣のカラ元気も内心忸怩(じくじ)たるものがあるに違いない。しかし、冒頭述べたように、支持率の法則を野田内閣も免れない。挙党態勢とはいえ、反小沢、親小沢の構図は宿命的に存在する。閣僚の問題発言も出始めた。やがては政党支持率の方が、内閣支持率と連動しなくなって、こちらは急落含みだろう。10月からは小沢裁判が始まり、「政治とカネ」が前面に出る。野田自らの外国人献金や増税方針もマイナス要素だ。数か月後には支持率は必ず落ちる。臨時国会末から通常国会は、やはり解散への赤信号とみるべきだろう。<結局は、どじょう汚染で、幕となり>もアリだろう。
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