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2006-06-24 23:49
上海協力機構は何を追及しているのか
成川 葵
販売員
「上海協力機構(SCO)」の発足5周年を記念する首脳会議の模様が日本でも大きく報道されました。私が注目したのは、この首脳会議にイランのアハメドネジャド大統領がオブザーバーとして招待されていたことです。ちょうどイランの核開発問題が緊迫度を増し、世界から注目を集めている時点に、SCOはどのような考えでアハメドネジャド大統領を招待したのでしょうか。イランとの関係強化を進めるSCO、より具体的には中国の意図に疑問をもちました。SCOはそもそも中国が設立のイニシアティブを取った機構であり、今回も開催国は中国だったからです。
そこで、昨年9月に東京で開催された「日中対話:東アジア共同体の展望と日中関係」の報告書を読んでみました。中国社会科学院の任啓民研究員が「東アジア地域では、多種多様な多国間安全保障対話が制度化されつつある。中国は、総合安全保障、協調的安全保障を基本的立場として『睦隣、安隣、富隣』(隣国との親睦、安心、共豊)政策を推進している。安全保障協力は、グローバル化時代に相応しく、開放的で非排他的でなければならない」と報告しています。
ところで、SCO首脳会議の共同宣言を見ると、「政治・社会体制や価値観の違いが、他国の内政に干渉する口実とされるべきではない」「社会発展のモデルは『輸出』できない」と宣言されていますが、これは、ある報道によれば、人権や民主主義を進める米国に対する間接的な批判の姿勢を明確にしたものであるとされています。SCOが、何を目的にし、何を追及しているのか、その展開が、世界の平和と安定ではなく、むしろ緊張をもたらすことにならないのか、それが心配です。
任研究員も、上記「日中対話」のなかで、SCOの名前にも数回ふれつつ、こうした多国間の安全保障協力は地域の安全を維持し、促進するものでなければならないと主張しています。SCOが、まさに「開放的かつ非排他的」な組織として、地域の安全に寄与してくれることを期待したいと思います。SCOが、米国と対抗し、地域や世界の安全を脅かすような存在にならないよう、日本としては今後のSCOの展開に注視しつつ、中国との対話を強化すべきでしょう。
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