最近の政局の動きは、バカ騒ぎの繰り返しで国民はあきれ果てている。しかし、菅首相側からみると、不信任案の否決をはじめ、国会の大幅延長、事実上無期限の菅首相の任期延長など、菅首相の思惑通りに状況が進んでおり、むしろ菅首相の辣腕ぶりに、野党側は切歯扼腕しているようだ。

　しかし、考えてみると、現状は「悪い」とはいえ、それでも「民主・自民・公明のいわゆる『大連立』よりはずっとましだ」と考えるべきではないか？なぜなら、自民党の亜流に過ぎない現在の民主党と、落ちぶれたあげくに「貧すれば鈍」になった自民党が野合したところで、もっと状況は悪くなってしまう公算が大であるからだ。

　むしろ、当面は民主党が単独で政権を運営し、政策方向を明確に打ち出したうえで、国会を解散し、国民に信を問うのが王道である。選挙結果がふたたび「ねじれ現象」となるならば、その現象を解消するまで、総選挙を繰り返せばよいのである。その方が、長期的に見て、日本が抱える国会運営上の困難を解消するのに役立つのではないかと考えられる。

　その際、民主党の自民党に対する対抗軸は「脱原発」にすれば、国民の立場からすれば、選択が容易になると思われる。いずれにしても、今後の日本のあり方に関連して、従来どおり「原発を推進する」のか、あるいは「脱原発に切り替えるのか」は、国民投票によって決着をつけるべき問題であるからだ。
各政党は、当面の政局に明け暮れるよりも、将来の日本のあり方全体にかかわる原発問題について、明確な選択肢を出すことが求められている。