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2011-03-23 07:40
2年間限定で「政争なき復興」の大連立を組め
杉浦 正章
政治評論家
まだ水素爆発の粉じんが収まらぬ中「東日本はつぶれない」と分析したとおり、福島第一原発は制御への明るい希望がわいてきた。次は政治の荒療治だが、ここは与野党とも全ての行きがかりを「初期化」して、「リセット」し、大連立へと動くしかない。任期満了までの2年間限定で「救国大連立政権」を設立して、東日本復興に全精力を傾注すべきだ。非常事態にこれ以上政争を繰り返せば、国民の怒りは頂点に達して、とんでもないしっぺ返しを受けることを警告しておく。まったくの根回しなしでは、疑心暗鬼と警戒を呼ぶのも無理はない。首相・菅直人が3月19日に副総理での入閣を自民党総裁・谷垣禎一に打診したが、谷垣は断った。菅が政権延命を考えていると判断したからであろう。まだ原発がどうなるかも定かでない時点で、政治が駆け引きをするのも不謹慎であろう。自民党幹事長・石原伸晃が「ものには手順がある。首相が民主党内をまとめるところから始まるのではないか」と唐突な要請を批判したのも無理からぬところがある。菅はタイミングを誤ったが、ただ一点において国民の期待に沿っている。それは「政争なしの復興」への期待である。
大震災の政治に対する戒めは、もう党利党略を離れ、復興に向けて全精力を傾注すべしという点にある。したがって、谷垣の拒否に対する国民の反応は、誰も「よくやった」とは思うまい。むしろ失望感が濃厚であろう。世論調査をすれば、大連立支持が圧倒的な数字として出るだろう。政治は数字を推定して、先取りして動かねばならない。調査結果を見て自民党が愕然としていたのでは遅いのだ。経済財政担当相・与謝野馨が「今後とも一切そういう可能性がない、と断定的に拒絶したのではない」と指摘しているが、今からでも遅くない。自民党は大連立へと動くべき時だ。与謝野は「連立を組めば、震災対策や国民に必要な事柄が迅速かつ的確に決まる」とも述べているが、その通りだ。合意を政府部内で迅速果敢に形成して、ダイナミックな政策をスピード感を伴って打ち出すべき時だ。
大震災前は解散か、総辞職か、の瀬戸際に追い込まれていた菅政権だが、運命は次善の策を選んだ。とりあえず政争も、解散も封じられた。おそらく2年余の間、菅の退陣は十分あり得るが、政争による解散という事態は起きないだろうし、起こしているひまはない。また野党が気にする統一地方選挙は、民主党大敗の構図はまず変化しまい。地方選挙などは国が直面する大波の前には、少なくとも最優先すべき政治課題とは言えない。いずれにしても、解散がないとなれば、自民党は野党で居続けるか、政権に参画するか、のどちらかを選択せざるを得ないのが政治の構図だ。折から世論調査では菅政権支持が回復し始めている。政党としてはトンビが油揚をさらうのを見過ごすことが出来るのか。ここは任期満了選挙までの2年間限定で大連立を組むしかない。
その上で国民の審判を受け、さらに連立を継続させるか新たな政治形態を現出させれば良い。 その場合菅は、谷垣だけではなく複数の自民党実力者の入閣を求め、公明党代表・山口那津男も入閣させるべきであろう。谷垣に副総理兼震災復興担当相への就任を要請したということは「東日本復興庁」担当相になることを意味するが、荒療治が谷垣に適しているかどうかは疑問がある。むしろ政調会長・石破茂のほうが向いている気がする。いずれにしても民主党は大連立に当たって「政治主導」「コンクリートから人へ」「ばらまき政策」の旗を降ろさなければなるまい。もう既に大震災で不可能になっている。政治主導を棚上げして既に事実上復活している次官会議を正式に復活させよ。復興は「人からコンクリートへ」を余儀なくされるが仕方がない。子ども手当などは、この際棚上げにして国民に我慢を求め、ばらまき資金は復興地に集中させよ。これを軸に予算関連法案の早期成立を図り、その上でとりあえず10兆円を超える補正予算を組み、連休前までに成立させよ。まず国民に安心を与えることが政治の急務だ。
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