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2011-03-09 10:02

菅政権による二つの不幸

川上 義幸  NPO法人クリエイト九州理事長
 菅内閣の支持率は既に20%を割っています。先週から始まった参議院の予算委員会で野党から厳しい追及を受けています。米軍普天間基地問題や尖閣諸島問題などの外交問題、そしてマニフェストの看板政策である子ども手当や高速道路の無料化も立ち往生し、加えて内部の謀反も加わり、満身創痍の状況にあります。

 また、菅首相は、佐藤氏の離党問題では岡田幹事長に任せている、参議院の審議についても輿石氏に任せているなどと、この難局でリーダーシップを取ろうとしない姿勢にはあきれます。支持利率の低下は、当然といえば当然と言えます。国民は、民主党政権の迷走ぶりには、怒りを通り越して諦めに近い感情になっていますが、されどこのままで日本はどうなるのか心配です。しかし、もっと心配なことがあります。菅首相が、「政治生命をかける」として強いこだわりを見せる「税と社会保障の一体改革」と環太平洋経済連携協定(TPP)参加による「第三の開国」の2つの政策の行方です。

 前者は、累積する巨額の公的債務残高に加え、少子高齢化・人口減少の進む中で、持続不可能と言われる年金・医療・介護などの社会保障費をどうするか、現下の日本の抱える最大の問題です。後者も、新興国が飛躍的に拡大するグローバル経済は、今や勝ち残りをかけて先進国も巻き込んで熾烈な戦いとなっています。その中で、農業の市場開放も聖域としないTPPへの参加は、避けて通れない検討課題です。

 菅政権という不人気政権がこの2つの重要な施策を手掛けることに、不安を覚えます。仮に政局となれば、民主党であれ、野党であれ、どの政権が後を継ぐとしても、反菅政権となるのは必定であり、菅政権の政策は継承されない危険があります。そうなれば、現在も時々刻々と国益が失われ、将来においても不安が払拭されないことになります。であるとしたならば、これは現政権による我が国の二つの不幸であり、国民は看過できません。
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