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2010-12-22 07:39
来年のキーワードは「解散・総辞職・大連立」
杉浦 正章
政治評論家
「解散」「総辞職」「大連立」と、おどろおどろしい政治用語が全て来年のキーワードになりそうである。太筆書きで来年の政局を見通せば、2代にわたり首相の指導力欠如が立証された民主党政権が、その存否を問われる政局波乱の幕開けとなる。日本を取り巻く世界情勢も、米・中・露のトップが2012年の交代期に入り、その内政が外交を突き動かし、極東はこれに激動含みの朝鮮半島情勢が加わって、主体性のない民主党外交を揺さぶるだろう。越年の小沢問題、閣僚への問責決議可決問題を抱え、首相・菅直人は崖っぷちに立っており、長続きはしそうもない。来年は辛卯(かのとう)の年。「辛抱強く古きを捨て、万物大地を押し開いて出る」が卦である。過去1年半の民主党政権を振り返れば、野党時代からの政治の欺瞞(ぎまん)性を背負い、平気でうそをつき、「マニフェストの幻影」に始まって「鳩山普天間」や「尖閣の虚構」に象徴される、国民をばかにした内政・外交ばかりが目立った。辛卯の「押し開いて出る」政治が、国民がこりごりした稚拙さ露呈の民主党政権のそれでなく、与野党の連合体であれ、自民党復権であれ、政治・外交の両面で良い意味での熟練性を復活したものであって欲しい。国際情勢は日本が“内乱”にうつつを抜かしていられる情況にはないからだ。
菅政権は年末の1週間で内閣改造をやろうと思えばできるが、このままの体制で来年の政局に臨むとしたら、菅は完全なる政局音痴であろう。対野党と対小沢の両面作戦を強いられるからだ。菅執行部にとても両面作戦で中央突破できる能力はない。まず正月明け冒頭から、官房長官・仙谷由人らの更迭問題に直面してしまう。自民党国対委員長・逢沢一郎は仙谷が辞任しない場合、官房長官が通常国会召集日を伝える衆院議院運営委員会や同理事会の出席を拒否する考えを表明しており、国会は開会すら困難な状況に突入する。たとえ開会できても、仙谷らの出席する審議は野党にボイコットされる。他方、小沢問題をめぐる攻防も佳境に入る。野党の主張の通り、小沢が出席を拒否する以上、政倫審の議決は無意味だ。いまだに固執するのは菅・岡田による国民へのアリバイ作りと見られても仕方がない。やるのなら野党との共同作戦で証人喚問をするしかあるまい。
しかし、菅は見たところ腰が引けている。小沢は両院議員総会や1月13日の民主党大会で突き上げを展開し、分裂含みの抗争が続きかねない。いずれにしても、菅はその政権遂行能力から言って、両面作戦の能力はない。改造をして、焦点を小沢一本に絞らない限り、乗り切れまい。したがって、腹背に敵を受けたままだと、たとえ通常国会を開催できても、国会は冒頭からにっちもさっちもいかなくなる可能性が高い。これに首相問責決議可決の追撃でも受ければ、国会は全面ストップだ。新年早々から「解散か、総辞職か」という事態になってもおかしくない。またどうにか来年度予算案の審議に入れても、予算案は憲法の規定で成立できるが、関連法案が成立しなければ、執行できない。菅は、社民党との連携で衆院での3分の2を確保して、参院での否決をリカバーしたい考えだが、ことはそう簡単ではない。再可決を一回やっただけでも、国会はストップする。2度3度と再可決を続ければ、これは「解散」か、「総辞職」覚悟の国会運営となる。「政権3月危機」の到来である。だいいち社民党が全ての法案で協力するかどうかは疑問がある。
冒頭述べたように、2012年は米大統領選、中国の指導部交代、ロシアの大統領選挙があり、11年は各国ともその選挙を意識した外交が展開される年となろう。尖閣、北方領土などを巡る環境は緊張こそすれ、緩和の方向にはない。だましだまし普天間移転を実現しようとすれば、沖縄では成田闘争並みの抵抗が生ずるだろう。しかし、米国との約束は遂行せざるを得ない。菅政権は鳩山由起夫の遺産である「普天間のくびき」から逃れることは出来ない。北朝鮮もトップ交代が近く、おそらく軍指導部の暴走を活用した体制交代への下馴らしを継続させるだろう。核兵器のミサイル搭載による実戦化も近いに違いない。こうしたかつてなく緊張した内外情勢のはざまで、菅政権は超低空飛行を続け、いつ墜落してもおかしくない危うい政権運営を余儀なくされるだろう。日本の政治を高みから俯瞰すれば、「早期解散・総選挙」で体制を一新して臨むしかない。それがなければ、テンポの速い世界情勢について行けない。したがって冒頭指摘したように、来年は「解散・総辞職・大連立」がキーワードになる。
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