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2010-11-22 07:28
菅政権の末期症状で3月危機は「何でもあり」
杉浦 正章
政治評論家
政権発足半年で早くも末期症状とは驚くが、確かに末期症状だ。内閣支持率急落と閣僚の迷言・妄言が止まらない。首相・菅直人のリーダーシップも発揮されず、世論支持率は26%と、ついに危険水域入りした。小沢一郎は解散をあおり立て、「動」で揺さぶって「活路」を得ようとしている。いま菅が解散すれば、民主党が100議席台に転落するのは、自明の理だ。あえて解散しようとすれば、党内で猛反対が生じて、首相交代へと発展しかねない。「ひょっとしたら、代表選で接戦を演じた自分に政権がころがりこむ」というのが、小沢の読みかもしれない。なぜかこの人物には、理性ではどうにもならない政治家の“業”のようなものを感ずる。
なぜここまで民主党政権が来てしまったかを、大きく俯瞰図に描けば、政権の持つ「欺瞞性」、「初心性」、「リーダーシップ欠如」の3点が致命傷となっていることが分かる。「欺瞞性」は、マニフェストの財源問題や、尖閣事件を政治主導で行ないながら検察へ責任転嫁したことに代表される虚言癖が象徴している。「初心性」は、日米関係の毀損と普天間移転問題、尖閣での対中外交、北方領土での対露外交という、我が国の外交の基本部分で露呈した。そして、“一兵卒”小沢一郎一人を説得できず、閣僚の弛緩した失言の山が象徴する菅の「リーダーシップ欠如」だ。これらの欠陥は、政権が持つ構造的なものであり、民主党政権は大衆にこびを売るばらまき政策や、事業仕分けが象徴するパフォーマンスで補おうとした。しかし、世界でも有数の知的レベルを持つ国民の目と、その判断を左右するやはり世界ではトップクラスの微に入り細をうがつ政治報道の目は欺けなかった。
こうした民主党の凋落(ちょうらく)の中で、小沢が「やぶれかぶれ解散するのではないかと心配している」と分析するのは、当たっているようで、実は当たっていないのだ。菅の支持率は20%台に落ち込んだら、まず回復は困難だろう。その「超低空ダッチロール首相」が解散に打って出たら、どうなるか。民主党の小沢チルドレンなどは、全滅に近いのではないか。衆院304議席が、100議席台に突入することは目に見えている。自民党も、全くよいところはないが、民主党が自民党の敵失で308議席を獲得したように、自民党は民主党の敵失で大幅に議席を伸ばすだろう。単独過半数は無理でも、自公政権の復活も考えられる。小沢は解散風を吹かせた結果、側近議員が激減するだけだ。
その火を見るより明らかな状況のなかで、民主党内は、菅の解散を「殿ご乱心」とストップに動くに決まっている。それではどんな展開があり得るかと言えば、解散するなら首相を代えて行うか、それとも菅支持派が小沢を除去した政界再編に突入するしかないだろう。首相を代えた場合の後継は、外相・前原誠司か幹事長・岡田克也だろうが、両者ともブームが起きるにはほど遠いタイプだ。取りすぎた308議席がたたって、自民党と民主党が両方とも過半数割れとなる事態も想定される。政界再編は「菅民主」と自民の大連立か、民主、公明の連立だろう。小沢が連立の立役者になることは「政治とカネ」と「強制起訴」で消えた。このただならぬ民主党政権の支持率低下は、抜き差しならぬ波乱要素を孕みながら、大きな政局へと発展してゆく可能性が強い。筆者の口癖「寸前暗黒」で「何でもあり」の状況が、臨時国会終盤から通常国会にかけて続く。3月危機は予言の段階から現実性を一段と帯び始めた。
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