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2010-02-23 20:23
「20%のウラン濃縮に成功」とイラン大統領は呼号するが
石川 純一
フリージャーナリスト
イランが2月11日、イスラム革命達成31周年を迎えた。アフマドネジャド同国大統領はこの日、故ホメイニ師を精神的指導者に仰いだ反パーレビを叫ぶ市民が革命成就に歓呼の声を上げた同じ首都テヘランのアザディ広場で演説。濃縮度20%のウラン濃縮に成功したことを公言した。9日の中部ナタンズにおける濃縮度20%のウラン製造開始報道(国営メディア)に次ぐものだ。
イランは先に、国際原子力機関(IAEA)が提案した、低濃縮ウランを国外搬送し、これを加工処理した上でテヘランの研究用原子炉用とするとの案を拒否。制裁をちらつかせる米政権は、これに真っ向から反論。ギブズ米大統領報道官は同じ11日の記者会見で、「イランが主張するほどの濃縮能力を持っているとは信じていない」と疑問を示した。同報道官は、ウラン濃縮に関するイラン側の発言の多くは「物理学よりも、政治に基づく場合が多い」と述べ、過去のアフマディネジャド大統領の発言も「虚偽と判明することが多い」とした。
他方、クローリー国務次官補(広報担当)も電話による記者会見で、20%のウラン濃縮の信頼性には疑問を示したが、イラン側の発言は「深刻に受け止めており、国連決議に違反するものだ。イランの核計画の意図が、平和目的ではないとの米国や国際社会の印象を強めるものだ」と言明。オバマ大統領は既に2月9日、「イランが低濃縮ウランの国外搬送・加工というIAEA案を受け入れない限り、国連安保理での対イラン制裁協議は不可避」と言明している。
オバマ政権は上記の点に絡み、アラブ湾岸諸国との軍事的な連携の強化も重視し、特にミサイル防衛(MD)能力の向上に力を入れている。イランが2月3日、弾道ミサイルへの技術転用が可能な衛星用ロケットの打ち上げを成功させ、2009年12月には、イスラエルや湾岸諸国を射程に収める中距離弾道ミサイル「セジル2」の試射を実施したことも重視。クウェート、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンの4カ国に、地上発射型と海上発射型のパトリオット(PAC3)を実戦配備。
オバマ政権の強硬姿勢の背景には、イラン核への先制攻撃も辞さずとするイスラエルが控えているだけに、イスラエル側の懸念を払拭するためにも、この強硬姿勢を崩すわけにはいくまい。もっともイランはイランで、国内に改革派、民主化推進派の台頭というやっかいな問題を抱えている。宗教界保守派の牛耳るイスラム政権を、何とか改革しようとする若年層を中心とした流れだ。が、国際的に認知されるまでには依然として至っておらず、苦しい運動展開を余儀なくされている。
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