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2010-01-30 10:47
日本を長寿社会の世界的なモデルにしよう
湯下 博之
杏林大学客員教授
少子高齢化が問題とされるようになって久しい。しかし、現在行われている対策では問題は解決しない。日本では少子化対策に脚光が当てられているが、仮りに出生率が少々高まっても、更に安心して子供が産める世の中になっても、高齢者が増大することに変わりはなく、現行の諸制度のままでは、年金その他の諸問題は解決しない。
この問題について、私は2007年3月23日に「『少子高齢化問題』を考えなおそう」と題して本『議論百出』欄で意見を述べたが、最近に至って、マイナス・イメージのつきまとう高齢者問題という発想ではなく、どのようにしてプラス・イメージの長寿社会を作るかという視点からの意見が見られるようになり、喜ばしい。高齢化の問題は、日本が先頭を切ってはいるが、日本以外にも同様の問題を抱える国は増えており、日本がどうするかは諸外国の関心事項でもある。
長寿社会の実現は、本来、おめでたいことであるが、寝たきりも含め、単に長く生きているというのでは、問題であり、元気で生き生きと生活し、社会の構成員として社会にそれなりの貢献をするのでなくては、意味がない。長寿者が、自分の居場所と仕事を持ち、収入の途をもって自主的な生活をする社会になれば、社会全体の活力を増すことになろう。
そのためには、人々の頭の切換えや社会の諸制度の改革が必要であるが、それらは基本的に避けて通れない問題である。例えば、健康の維持・増進に関する考え方や生活習慣の改革や、元気でやる気がある限り何歳になっても働ける就業機会の創出等は、直ちに実現に向けて手をつけるべきものである。
そのようにして、日本が高齢者問題に悩む国から生き生きとした長寿者のあふれる国に変化すれば、日本にとって良いことであるのみならず、多くの国々にとっても極めて有益なモデルを提供することとなろう。これは、日本が国際社会で影響力を持つためのソフト・パワーとなり得る。自分達のために、そして世界のために、健全な長寿社会の建設に国策として早急に取り組むことを提案する。
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