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2006-04-18 08:39
露骨な「二つの台湾」政策をとる中国との相違を明確にするべき
小笠原高雪
山梨学院大学教授
聴衆の一人として参加して、良い勉強をさせていただいたと感謝している。「もう少し時間が欲しい」という贅沢な希望を抱いたのは私だけではないと思うが、それも議論が充実していたからこそであろう。なかでも「台湾はWTOを果敢に活用すべし」との坂本正弘教授の御指摘に大いに啓発されたと感じていたところ、そうした動きが現実に起こり始めたことは、教授御自身も投稿のなかで言及されているとおり、興味深いことである。
台湾側の出席者が多彩であったことも大変よかった。日本との関わりの深い台湾人士をひきつづき大切にするべきことは当然であるが、李登輝前総統に象徴される伝統的な知日派とのみ親交を深めることは政治的に逆効果となりかねない。今後も台湾の外交世論を構成しているさまざまな人々を日本に招き、日台関係の裾野を拡大するとともに、露骨な「二つの台湾」政策をとる中国との相違を明確にするべきである。
何人かの日本側出席者から最近の中台関係に関する質問がなされたことは、時節柄自然なことであったであろう。微妙な問題を避け合う知的対話は意味が薄いし、この問題についてもう少し突っ込んだ議論ができればもっと良かった。しかし、同時に私としては、日台関係のために日本がこれまで何をしたかに思いを致し、いささかの気まずさを感じたことも事実であった。台湾問題は日本の国家としての気概を映す鏡の一つであると思う。
日本の新聞雑誌は今次の日台対話をどのように伝えてくれたのだろうか。十分に注意していなかったのだが、有意義な会議の様子が広く知られていないとしたら残念である。インターネットは便利な手段であるが、積極的関心者層以外の人々を含めて広くアプローチする手段としては必ずしも効果的とはいえない。場合によっては主催者側から簡単な記事や広告などを提供し、ホームページへいざなうことも考えられるのではなかろうか。
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