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2009-07-17 07:50
21日解散へまっしぐらの政局
杉浦正章
政治評論家
反麻生の「主力部隊」は全滅、あとは3連休のテレビ出演でのゲリラ戦くらいしかなくなった。「どんどん増えている」という中川秀直の発言は、沈む泥舟の水かさがどんどん増えているということだったのか。中川は未練がましく抵抗の構えを見せているが、“偽造名簿”が判明しては、潔く敗北を認めるべきだろう。両院議員総会の見送りで、首相・麻生太郎は「21日解散」にまっしぐらで突っ込むことになる。いよいよ「主敵」との政権を賭けた関ヶ原の戦いが展開される。テレビの評論家はもちろん全国紙まで「麻生おろし」が実現しそうな報道をしていたが、筆者は一貫して「麻生おろしは失速」の読みだった。なぜことごとく政局見通しが当たるかだが、恩師・田中角栄から学んだことが大きい。田中は政局は少し離れて鳥瞰図で見なければならないと言っていた。細部から大局を見るのではなく、大局を見て細部に目をやるのだ。
今回も、麻生は不信任決議案否決で事実上反麻生に勝ったのだ。これが大局である。加えて、「麻生おろし」は派閥本隊が動いていない。いわば“魑魅魍魎(ちみもうりょう)の乱”であった。その代表格が中川秀直と武部勤であり、加藤紘一であった。とりわけ加藤は「加藤の乱」に続く政局の重要ポイントで手痛い失敗を受けた。要するに役者不足であった。次に担ぐ御輿がなかった。財務相・与謝野馨が反麻生に転じたのは、自ら御輿となるつもりで手を挙げたのだろうが、この「与謝野の乱」も大きなうねりに発展しなかった。麻生から、署名を「危機感の現れだ」と痛打を浴びた。有り体に言えば、自分の総選挙“落選”への恐怖感が意識にあったということを指摘されたのだ。与謝野はここは辞任すべき時だが、「解散詔書署名拒否→罷免」までやる気だろうか。一緒に行動した農水相・石破茂は、状況不利とみて音よりも早く「親麻生」発言をし始めた。「麻生おろし」グループは、両院議員総会開催要求の名簿から見てもせいぜい60人。衆参自民党384人の6分の1だ。数が足りないのだ。
7月15日の夜、中川、武部らがまさに勝利宣言をして、祝杯を挙げていた裏で、切り崩しは始まっていたのだ。選挙公認見直しをちらつかされては、小選挙区では勝てない。加えてふに落ちないのは、名簿に麻生支持の津島派や伊吹派、古賀派の議員が結構入っていたことだ。わざと名簿に入れさせ、あえて黙認しておいて、ひっくり返すという高等戦略を領袖らが考えていたのではないか、と受け取れる。そうでなければ、事前に締め付けていたはずだ。この一枚上手の作戦にまんまと乗って、祝杯で真っ赤になった“キューピー武部”は可愛いものであった。
毎日新聞が「麻生首相の下では戦えないというなら、自民党を離党し、新党を結成する方がまだ筋が通る」と7月17日付社説で指摘している通りだ。新党結成の根性もないまま、コップの中の嵐を展開しても、しょせんは“主敵”を利するだけだ。それとも新党結成に走るのか。もう解散前は間に合うまい。それにしても朝日の今朝17日の社説はピントが狂っていないか。紙面に展開した記事より相当遅れている。「場合によっては、首相がいったん決断した『7月21日にも衆院解散、8月30日投開票』の総選挙日程が思い通りにいかなくなる可能性もある」などと書いている。トップ記事のリード「30日投開票の日程で総選挙」と大矛盾だ。朝日らしくない。編集局幹部は論説にも情報を伝えてやらねば。新聞は整合性が大事だ。
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