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2009-06-10 07:44
「小泉再登板」説、「内閣改造」説を分析する
杉浦正章
政治評論家
「カチカチ山のたぬき」と言われてしまった首相・麻生太郎が、起死回生の手を打てるかどうかが政局の焦点だ。しかし、ささやかれている内閣改造で窮地を脱せられるかというと疑問だろう。それよりも面白いのはここ1週間ほど、永田町で流れている「小泉純一郎再登板」説だ。日本郵政人事で怒り心頭に発した小泉が、政界を引退せずに選挙に出馬するというのだ。政治家続投となれば、「麻生降ろし」への影響は必至だ。小泉に差し替えて支持率を挽回しようという動きが出る。しかし、眉唾的な側面もある。きょうはあえて“眉唾情報”に焦点を当ててみる。「瓢箪から駒」がないわけではない。
この永田町情報を、しっかりした報道機関が報じたのは6月9日のTBSが最初だ。ニュースキャスター後藤謙次が7時のニュースで「思わぬうわさ」と前置きして「小泉元首相がいったん表明した政界引退を撤回して、再び選挙に出る話がある」と述べたのである。「最近の小泉さんはオーラがあり、迫力がある。とてもただでは済まないのではないか」とも付け加えた。後藤と言えば、生え抜きの政治記者で、共同通信の編集局長まで努めている。只の情報源ではあるまい。小泉は「首相にふさわしい政治家」の世論調査で、いまだに高支持率がある。安倍晋三が辞任したときも、福田康夫が辞任したときも再登板説が流れた。強いリーダーシップもあり、この時点で自民党が「回天の大事業」で小泉を復活させられれば、大敗がささやかれる総選挙をかなり挽回できる可能性がある。
しかし、いったん息子に引き継ぎを表明して、選挙区は動き始めており、比例区で出馬するつもりだろうか。また総選挙にこの時点で出ると決意することは、政治的には自民党総裁への再登板を目指すと受け取れる。自民党内は小泉改革への不満がうっ積しており、「小泉人気」だけで党がまとまるかどうかと言えば、困難だろう。それこそ分裂含みとなる。問題はこの超ウルトラCを、この時点で自民党が処理できるほどの体力・気力が残っているかどうかである。だから眉唾となる。
もう一つの眉唾は、内閣改造説だ。行政改革担当相・甘利明も9日「こういう日本をつくることを表現するに当たり、人事として国民に示すことはひとつの手段」と肯定的な発言をした。しかし、ささやかれる構想は、日本郵政人事にからんで鳩山邦夫を辞めさせる手段に使おうというのだから恐れ入る。29日の日本郵政の株主総会に先立って改造を断行し、総会後直ちに解散して8月選挙という筋書きだそうだ。確かに鳩山問題、与謝野馨の3相兼務、小渕優子の妊娠、西松がらみの二階俊博の問題など、改造すべき要因はある。しかし、いくら日本郵政とは言え、一民間会社の社長人事で内閣改造までするかということだ。末代までの笑いものになる。だいいち内閣を改造しても、トップがそのままでは、支持率の好転などとても望めまい。あるとすれば延長国会後だろうが、改造して直ちに総選挙では、有権者の目に思惑がありありと映り、効果は出まい。小泉再登板も、内閣改造も、自民党末期のあがきであろうが、ひょっとするとひょっとする。
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