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2009-06-02 07:44
民主党は郵便悪用事件でも説明責任がある
杉浦正章
政治評論家
自称・障害者団体「凛(りん)の会」(現・白山会)を郵便割引制度の適用団体と認めた決裁文書を、厚生労働省の係長が偽造したとされる事件で、民主党議員の名前が取りざたされている。当初は単なる事務上の誤判断かと思われた事件が、日を追うごとに政治家がらみの事件へと発展しそうな雲行きを見せている。それも西松事件に続く民主党議員がらみの話だ。民主党は同問題に対する大阪地検の捜査を西松事件に続く「第2次国策捜査」と鼻であしらって無視し続けるのだろうか。総選挙を前にして、自浄作用を発揮させるべきではないのか。「解散に追い込む」と代表・鳩山由紀夫は外面上意気軒高だが、疑惑でじりじりと追い込まれているのは民主党ではないのか。
あらゆる報道が二人の民主党議員に絞られている。産経新聞によれば、障害者団体証明書の発行について、当時の厚生労働省障害保健福祉部長が大阪地検特捜部の任意の事情聴取に、「民主党の国会議員から電話で凛の会への対応を頼まれた」と証言しているという。また朝日新聞によると、自称・障害者団体「白山会」(東京)代表の倉沢邦夫容疑者(73)が2004年春、白山会の前身団体「凛の会」への団体の証明書発行を求めて厚生労働省幹部と面会した際に、民主党副代表・参院議員の石井一の事務所関係者であることを告げた、と供述しているという。電話で直接依頼したのが誰かは自ずと浮かび上がってくる。また共同通信によると、逮捕された「白山会」の会長守田義国容疑者(69)が、民主党の牧義夫衆院議員(51才、愛知4区)に「競合している団体の活動を抑えてほしい」と頼んだ、との供述をしていることが1日、捜査関係者への取材で分かったという。牧は国会で、白山会の競合団体を批判する質問をしており、疑惑の目が向けられている。
石井事務所は、倉沢邦夫容疑者が私設秘書として20数年前に一時期だけ在籍していたことを認めている。しかし「厚労省への訪問は把握していない。凛の会という団体も知らないし、議員本人や事務所がそんなことを指示したり、許可したりすることはあり得ない。」と頭から否定しているという。黒白は大阪地検の捜査の進展を見れば分かることだが、問題は前代表の秘書が西松問題で起訴され、その説明責任も果たされないままの状態の中で、今度は副代表と中堅議員の疑惑が発生している、という党の体質である。恐らく代表・鳩山由起夫以下党首脳は、固唾を呑んで捜査の進展を見守らざるをえない状況であろう。しかし総選挙を前にして、見守っているだけでいいのか。いつまでもほおかむりできる問題でもあるまい。
それとも選挙妨害になるから、議員本人への事情聴取などの捜査には限界があるとでも思っているのだろうか。参院議員の場合なら、選挙妨害にもなるまい。通常のダイレクトメールなら郵送料金が1通120円かかるところ、8円に割り引かれる「心身障害者用低料第3種郵便物制度」を、特定企業が利用するという、悪質きわまりない事件である。民主党はこれまで、厚労省がらみの問題では「消えた年金問題」に始まって見事な発掘と追及を展開してきた。しかし、その裏で生じている疑惑は、「表で追及し、裏でゆする」というまるで暴力団のような構図が出てくるではないか。厚労省も厚労省だ。政治家から頼まれると、「政治家マター」と称して特別扱いし、善悪をわきまえずに対応する。霞が関体質そのものだ。鳩山は、パフォーマンスの田植えなどしているときではないのではないか。党内で自ら自浄作用の先頭に立つべきだ。説明責任をまさに求められている。
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