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2009-05-25 07:41
限界の見えてきた民主党幹事長・岡田克也
杉浦正章
政治評論家
「小沢マニュアル」通りの発言が続く代表・鳩山由紀夫との対比で、幹事長・岡田克也の発言が就任後どうなったかを分析しているが、総じて鳩山寄りとなっている。責任政党のメルクマール消費税問題は、明らかに導入論から棚上げ論に転換。小沢の説明責任問題は煮え切らない。財源論も民主党の主張を一歩も出ない。まるでこれまで通りの主張でも民意は変わらず、政権交代が達成できると判断したかのようである。岡田の限界が見えてきた。堂々と消費税引き上げを言ってきた岡田は筋が通っていた。自らの代表時代に年金制度の抜本改革を提言、「3%の年金目的消費税」の導入を主張してきた。さきの代表選挙に際しても、「将来的には年金目的税ということで、消費税が必要になってくる」との立場だった。首相・麻生太郎は、岡田の消費税導入論に対して「十分に政策論争になり得る」と好感していた。
まさに民主党刷新の旗手を感じさせた。ところが代表選挙で鳩山が勝って、「4年間は消費税問題は論議もしない」と述べると、これに沿った発言をし出した。24日のNHKでも「衆院議員の任期4年間は消費税を上げない。消費税引き上げという大きな政策転換は、選挙で問うことにする」と強調した。この岡田発言は、明らかに従来の主張からの転換であり、同じ非小沢系でも幹事長代理・野田佳彦が24日「議論はあってしかるべきだ。タブー視する空気はつくるべきではない」と述べたのとも、食い違っている。たとえ選挙に不利でも将来の消費税導入を論議するのは責任政党の必要条件である。
岡田発言に対して自民党の幹事長代理・石原伸晃が「消費税論議を4年間封印することは、財源問題への解答を政治が封印してしまうことになる」と批判したが、もっともな発言だ。その財源問題でも岡田は「当面は埋蔵金、2、3年以内に行政改革で財源を出す」と、小沢の「節約で捻出(ねんしゅつ)」路線を踏襲した。小沢の献金問題でも「自民党にももらった人はたくさんいる」と発言、公明党幹事長・北側一雄から「西松事件のポイントは偽装だ。小沢さんが偽装隠しをやったことが問題なのだ」とたしなめられた。
まるで「同じ穴のムジナ」だったのかという岡田の転換ぶりだが、背景には世論調査の結果が民主党再出発を好感していることから、民主党はこれまで通りの財源論、消費税封じ、「臭い小沢にふた」でやっていけると踏んでいるふしがある。責任政党でなくても勝てるというわけだ。岡田は「次の選挙は自民党か民主党かの選択ではなく、有権者はまず自民党が駄目という前提に立っており、民主党がしっかりやっていけるか見届けようとしている」と述べたが、まるで総選挙の勝利宣言だ。いささか増長の気負いを感じるのは、私だけだろうか。政権を取ったら導入せざるを得なくなるのを承知で、自分が必要と主張してきた消費税論議を封印して、総選挙に臨むのは、国民に対する民主党の従来通りの欺瞞(ぎまん)作戦に乗っていることになるのだ。まさに消費税論議を「政争の具」としてきた路線に沿うことになる。
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