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2009-05-01 10:32
常任世話人便り(6)「日米対話」について
若林 秀樹
グローバル・フォーラム常任世話人
グローバル・フォーラムは、相手国のしかるべき国際交流団体との共催形式で「対話」と称する知的交流計画を毎年3-4回実施しています。今回は、一昨年に引き続き全米外交政策委員会(ジョージ・シュワブ委員長)との共催により、4月24日東京で第2回日米対話「オバマ新政権下での日米関係」を開催しました。以下に私の感じたことを、二、三述べさせていただきます。
今回の「日米対話」には、民主・共和両党の大統領に超党派のアジア問題専門家として仕え、1970年代のワシントン以来、伊藤憲一世話人や田久保忠衛メンバーと親交を深めてきたウィンストン・ロード元駐中国大使を始めとするビッグネームが、アメリカ側に顔をそろえました。かれらが(ドナルド・ザゴリア教授を除いて)こぞってオバマ大統領を高く評価し、「オバマは単なる『よい大統領』ではなく、『偉大な大統領』になるだろう」との言葉さえ出たのには、正直に言って驚きました。大河原代表世話人が、オバマ政権の対日関係重視の姿勢を評価し、「来年は日米安保条約改定50周年の年に当たるが、日米同盟の再定義を行なうことを提案したい」と述べたのも、オバマ政権に対する日本側の期待感を表明する結果となりました。
出席者の関心を広く集めたのは、北朝鮮問題でしたが、鋭く、深く、熱のこもった応酬が交わされたのは、プラハにおけるオバマ大統領の演説『核なき世界』の評価でした。ロード元駐中国大使は、これを「現実主義に立脚したものである」と述べ、高く評価しましたが、日本側から出席した森本敏拓殖大学教授は、「『核なき世界』は理想であるが、そこにいたる核軍縮のプロセスで世界がかえって戦略的に不安定になる可能性は避けなければならない。米露の保有核弾頭が1000個以下となるような場合には、中国についてもしかるべき核軍縮を求めないと、米国の拡大抑止の信頼性が失われてしまう」と指摘し、このあと白熱した議論が交わされました。
外交は、政府だけで実施できるものではありません。このような「トラック2」と呼ばれる民間レベルの知的交流は、「対話」参加者の多くが過去に「トラック1」(政府レベル)の交渉を経験している場合が多いだけに、それ自体としての効用もさることながら、政府への影響力という意味でも大きな意味をもっていると思いました。改めてグローバル・フォーラムの活動の重要性を肌で感じた「日米対話」でした。この「対話」の報告書は、現在作成中であり、完成次第このホームページに掲載しますが、「プログラム」を含む会議資料は、いますぐこのサイトhttp://www.gfj.jp/jpn/dialogue/31/cp.pdfでご覧いただけます。
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