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2009-04-09 00:00
(連載)世界金融危機にどう対応するか(1)
大河原 良雄
グローバル・フォーラム代表世話人
昨年11月のワシントンでの第1回G20サミットに続き、第2回のG20サミット(金融サミット)が4月2日にロンドン近郊で開催され、首脳宣言が発表された。今回の金融危機に触発された未曾有の世界経済不況に対処すべく、短期的な経済の悪化を防ぐ政策に重点が置かれているのが目立つ。例えば2010年末までに5兆ドルの財政出動や金融緩和の継続によって世界のGDP成長率を4%押し上げるとしたこと、またIMFの資金基盤を3倍に拡充し、途上国支援を強化することに合意がみられたこと、等が指摘されるだろう。
然し、今回の危機で露呈した不良債権処理の為の国際的な協調のあり方について言及が無い事にみられる様に、各国政府は当面の経済の悪化防止に最大限の関心を払っているように見られるのは、核心の問題を今後に残していることを示すものであろう。4月8日付日本経済新聞によれば、フィナンシャル・タイムズやニューヨーク・タイムズ等の英米主要紙の社説は、いずれも金融サミットの財政出動への消極姿勢を批判しているとのことである。第3回のG20首脳会議を9月の国連総会時にニューヨークで開催かとの報道がすでに見られるが、7月にはイタリアが議長国となるG8首脳会議の開催が日程に上がっている状況の下で、G8、G20の事態収拾に向けての政策的からみ合いが注目されるところである。
私の所属する財団法人世界平和研究所は、上述のG20首脳会議の開催を視野に入れて、去る3月9日に「2030年代を見据えた国際経済、金融体制の展望」と題する政策提言を発表している。これは「今回の危機は、これまでの国際経済金融体制のあり方に抜本的な変革を迫る可能性があり、これまでの危機と本質的に性格を異にする」との認識に立って、「世界の持続的かつ安定的発展には、開かれた多層的な国際経済、金融体制の構築が必要である」との分析を基に、外部識者の意見を参考にしつつ政策提言を行ったものである。短期的課題としては、雇用創出、景気浮揚策に加えて、不良資産の集中的処理、金融システムの修復が早急な対応を求められており、IMF、世銀体制の補強が急務である。具体的には、2010年半ばまでに不良資産の集中的処理をはかり、新しい金融監督支援体制の構築を急ぐ必要がある。
より中長期的な視点からは、2020年代に円、人民元、ウオン及び他のアジア通貨を包摂するアジア共通通貨単位(ACU)の創設をはかり、更にこれを受けて2030年代以降にアジア共通通貨の導入につなぐという内容の提言である。この提言を纏めるに当たって、戦後終始ブレトンウッド体制の下に基軸通貨であり続けた米ドル及び2025年頃までには世界第2の経済大国となると見込まれている中国の人民元との関係を如何に調整すべきかにつき、十分な考慮が必要であった。ドルは相対的に嘗ての如き圧倒的な信認に裏付けされた基軸通貨とは認められなくなっているとはいえ、今後引き続き基軸通貨としての役割を果たしていくことに変わりはない、と見込むべきであろう。従ってアジアの共通通貨は、50年の歴史を経て統合への道を歩んだEUの通貨としてその存在を確かなものとしている「ユーロ」と並んで、第三極としてのアジアの通貨として、補完的役割を果たすべきものと位置づけられるのが至当とされた。(つづく)
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