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2009-04-05 00:00
(連載)国旗と国歌について考える(5)
水野 勝康
特定社会保険労務士
国旗は不変のものというわけではなく、国情によっても変わる。代表的なのがアメリカの星条旗で、1777年に独立したときには13州を表す13の星が描かれていたが、その後州が増えるたびに星が追加され、なんと27回も変更されている。現在の国旗になったのは、ハワイ州が加わった1960年で、意外に新しい。
一方、現在変更の議論がされている国もある。イギリスの国旗「ユニオンジャック」は、イングランドとスコットランドの同君連合時代に、イングランドの国旗とスコットランドの国旗が組み合わされて原型が作られ、さらにアイルランド王国との合同でグレート・ブリテンおよびアイルランド連合王国が成立した際、アイルランドの国旗と称してアイルランドの有力諸侯だったキルデア伯の旗を加えて、現在のものになった。ところが、最近になってイギリスを構成する4つの非独立国のひとつであるウェールズの意匠が入っていないではないかと言う話が出てきた。政府と議会の成立にまで至ったウェールズの国民意識の復興に伴い、イギリスの国民統合の観点からウェールズのシンボルとなっている「赤い竜」の意匠を取り込むべきとの主張が、一部から提起されている。
『デイリー・テレグラフ』紙がウェールズの意匠を取り入れた旗の試案を募集したところ、日本からも複数の作品が投稿され、そのひとつは投票では2位となった。デザインは、ドラゴンの背に日本のアニメ「ゼロの使い魔」の主人公「ルイズ」が乗り、ユニオンジャックを持っているというものであった。ただし、実際の変更については、難しいという見方が強い。理由は、ユニオンジャックがあまりにも定着しすぎていること、他国の国旗の意匠に入っており、影響がイギリスのみならず他国に及ぶこと、なによりも三つの十字架と赤い竜ではデザインがあまりにもかけ離れ過ぎているので、整合性の取れた国旗を作るのは難しいことなどである。この話は今後どうなるかわからないが、国旗は革命などがなくても、変更される可能性がある、というひとつの話ではある。
以上掻い摘んで見てきたが、国旗・国歌には多くの物語がある。それらはその国の成り立ちや仕組みと無関係ではなく、国旗・国歌を通して国が見えると言っても過言ではない。国旗・国歌について学ぶことで、おのずから国際関係・国際儀礼や歴史を学ぶ機会にもなるのではないか。その点で、我が国の国旗・国歌に関する教育は、もう少し内容が工夫されてもよいように思われる。(おわり)
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