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2009-03-30 00:00
「時価会計」は必要でも、適切でもない
若林 秀樹
グローバル・フォーラム常任世話人
物・サービスの売買は、言ってみれば常に「時価」に基づいて行われる。どんなにメーカーが希望する小売価格があっても、その時の需給関係など様々な要素が影響してマーケット・プライスが決まる。しかし、ゴーイング・コンサーン(継続的に発展し続ける)を前提とする企業において、その価値をその時々の経済情勢等で大幅に変動する「時価」で評価することがいいのかどうか、この金融危機の時代において改めてそのことが問われ始めたようだ。
グローバル資本主義の象徴である「時価会計」は、日本でもアメリカの圧力によって「国際標準」の大号令の下に2001年3月期から導入されたが、その本家本元のアメリカにおいてバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長等が見直すべきだと言い始め、どこまで米国はご都合主義なのかと、首を傾げたくなる。
財政・金融問題の専門家である民主党の峰崎参議院議員は、3月23日付け『フジサンケイ・ビジネスアイ』のコラムで、「時価会計」は資産バブルを生み出した遠因であり、「バブルが崩壊するや、それが逆回転し始めて投げ売り状態になり、資産価格の暴落から金融危機、実体経済の崩落へと今、世界経済が抱えている問題が生み出された」と、その問題点を鋭く指摘した。
私自身は会計の専門家ではないが、情報公開、資産の透明化は必要ではあると認識しつつも、「未実現の利益(損失)」を年度ごとの「損益計算書」や「貸借対照表」にまで反映することはいかがなものかと、かねてから疑問を呈していた。峰崎氏は、「取得原価会計で表示し、資産の含み利益は注記事項としておけば、投資家に対する情報開示は可能となるわけで、何の問題もないどころか、『未実現の利益』の取り込みによる『信用創造の急増=過剰流動性』の暴走を阻止することも可能になるだろう」と述べている。
初めて時価会計を導入したのは、今から150年前のドイツであり、やはり今日に見られる同じ問題で23年後に廃止されたそうだ。1930年代の銀行の破産も、その多くは時価会計が原因だと言われている。そして今、「時価会計」を支持し、その恩恵を受けてきた国際的な投資銀行やファンドが、同じ会計基準により絶体絶命の大ピンチに立たされている。まさに「歴史は繰り返される」であるが、これまでルールを決めてきた人間が、都合が悪くなるとルールを変えるようでは、国際的な信用は得られまい。
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