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2009-03-25 00:00
国連分担金:悪しき平等主義
石川 純一
フリージャーナリスト
国連の潘基文事務総長が11日、米下院外交委のメンバーとの会合で、国連分担金を滞納している米国を「最大の踏み倒し屋」だと面罵。国連運営にかかる費用は、総会によって加盟国で分担することが決められており、このいわゆる国連分担金の分担率の上限は、米国が22%で第1位。日本は19.468%で第2位だ。この米国が国連分担金の支払いを渋り、国連広報センターによれば、2001年末現在で滞納総額は8億7100万ドル。潘総長の発言は一見正論のようだが、では、出身国の韓国はどうか。2004年末現在、国連分担金の滞納率は、米国(41%)、中国(64%)、ドイツ(25%)、フランス(31%)、イタリア(31%)に及ぶ。滞納総額が当該国の国連分担金の2年分を超えると投票権を喪失するので、各国ともちまちまと支払いと滞納を調整して、何とかとりつくろっているのが実態だ。
そして、そして国連分担金の上位10カ国の中で、滞納の割合が65%とダントツなのが韓国である。潘総長の発言に、米下院外交委の連中が激怒したのは当然だ。ちなみに、国連を支配している安保理の常任理事国5カ国のうち、米国を除いた中国、フランス、イギリス、ロシアの4カ国の国連分担金の割合は、合計で15.310%と、日本一国に遠くおよばない。分担金の下限は、0.001%でアフリカ諸国の大半がこの中に入る。そして、22%も、0.001%も、国連では同じ発言力しかない。0.001%組は、先進国からの政府開発援助(ODA)でかろうじて国家経済が成り立っているという現状を考慮すれば、「国連は運営がなってない」と米国ががなりたてるのも、もっともなことだ。
戦争は、やるからには勝たねばならない、というのは、この分担金の問題に如実に表れている。戦勝国は、今でも負け組を食い物にしているのだ。日本の常任理事国入りに反対している中国は、日本の分担金のほぼ10分の1、北方領土の返還を拒み続けているロシアは、日本の19分の1、常任理事国ではないが日本の常任理事国入りに反対している韓国は、10分の1にも満たない。さらには、日本は分担金以外に国連平和維持活動(PKO)予算に約454億円、世界保健機関(WHO)やユネスコに約300億円、スマトラ沖地震・津波の援助金と何のかんので、年間1000億円以上を国連機関に納めて、こまめに金をばらまいている。これだけ、貢いでいるのに、日本は未だに敗戦国として取り扱われている。
まあ、それはともかくとして、先の潘基文発言だが、共和党のロスレイティネン筆頭理事は声明で「信じられない発言だ。国連が非効率なのは、資金不足のためではなく、資金を浪費する腐敗したシステムを抱えているからだ」と発言を批判。さらに「イランやシリア、北朝鮮が世界を危険にさらしているときに、国連は民主主義国家である米国やイスラエルを非難することで頭がいっぱいになっている」として、国連自身の改革を進めるよう求めた。何とも、文字通りの「会議は踊る」の図だ。筆者の生まれ育った場所では、「目くそ、鼻くそを笑う」と言う。
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