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2009-03-22 00:00
(連載)ソマリア沖への自衛隊派遣について思う(3)
水野 勝康
特定社会保険労務士
海上自衛隊を派遣して船舶を護衛することは、海賊対策としてはそれなりに有効であることは間違いない。武力行使については議論があるが、海賊船とおぼしき不審船を臨検し、事前に海賊を拘束できるようになれば、効果は更に上がるであろう。しかし、海賊を根絶するためには、同時に海賊が海賊稼業に従事しなくても生きていけるようにすることが、海賊対策として必要なのではなかろうか。
私は海上自衛隊のソマリア沖派遣には賛成するが、同時に「民生支援」をどうするか検討しなければならないと考える。単に艦艇を送るだけでは、結局海賊を根絶することはできないであろう。海賊ビジネスをせざるを得ない人々がいれば、そこに海賊ビジネスを支える社会システムができていくのである。海上自衛隊を派遣している間は下火になっても、海上自衛隊が撤退すれば、また海賊が息を吹き返すことは目に見えている。
そして、インド洋での対テロ対策に従事する艦艇に加えて、ソマリア沖に艦艇を派遣し続ければ、海上自衛隊にとって重い負担となる。特に、艦艇に乗り組んで第一線で任務に就いている隊員の負担は重いものになるであろう。隊員は狭い艦艇で不自由な生活を何箇月も続けながら、厳しい気候の地域で警戒にあたることになる。心身を消耗するであろうことは、素人でも容易に理解できる。海上自衛隊のインド洋派遣がはじまってから、隊内での自殺や自傷行為が増えていると言う話もある。際限なく自衛隊の派遣範囲を広げていけば、無理が生じるのは明らかだ。防衛予算は無制限ではないし、艦艇の数も、隊員の数も、制限があるからである。
日本としては、海上自衛隊の派遣だけでなく、どのような民生支援を行うかも含め、広い視点で総合的な海賊対策を行うことが必要であろう。そうしなければ、無理な派遣を続けていくうちに、自衛隊のほうが消耗し、結果的に「海賊が戦略的に勝つ」というようなことになりかねない。海賊問題は、自衛隊を派遣すれば済むというような単純な問題ではない、ことをどれだけの政府関係者が理解しているのだろうか。(おわり)
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