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2009-03-05 00:00
“トラバサミ”にかかった小沢一郎
杉浦 正章
政治評論家
記者会見の民主党代表・小沢一郎は、絶対外れることのない罠“トラバサミ”にかかった獣のようであった。最初は吠え続けるが、次第に弱まってゆく運命が見える。その主張は、弁護士と徹夜で打ち合わせた裁判への理論武装のようでもあったが、説明責任を果たすにはほど遠いものであった。小沢は、逮捕された公設第1秘書について「起訴はない」と述べたが、検察が逮捕したのは、起訴するためだ。拘留期限の24日までに起訴されれば、代表辞任問題が焦点になるのは避けられない。辞任がなければ「国会証人喚問」へと続くのがパターンだ。したがって小沢会見は一時しのぎに過ぎない。民主党役員会の小沢との“一蓮托生”路線は、大きな政治上の誤判断に直結するだろう。
小沢会見をつぶさに分析すると、二つの側面で破たんが見られる。一つは検察の捜査そのものの批判、他の一つはダミー政治団体を西松建設と一体であったと認識していないという詭弁である。検察批判は要するに、国民に対して「政治家を信用するか、検察を信用するか」と問いかけているようなものだ。その問いかけに対して「政治家」と答える国民はいない。小沢は「過去にこのようなやり方はなかった」と述べたが、検察が立件という目的のためにあらゆる手段を使うことは、ロッキード事件の嘱託尋問で証明済みだ。小沢は同裁判をつぶさに見て“学習”しなかったのだろうか。証拠無くして検察が逮捕に踏み切ることはあり得ない。
ダミーの政治団体を西松建設と認識していなかったという説明も、すぐに破たんする。そもそも10年間にわたり、3億の献金を受け、しかも毎年ダミー団体ではなく西松建設に献金を請求していて、「知らなかった」では済まされない。第一、ダミーのトップらは西松の幹部OBであり、少なくとも秘書は顔見知りであろう。小沢の切り札は、「企業献金という認識に立っているとすれば、政党支部で受ける」という発言だが、西松建設が小沢に献金するために小沢側と調整の上、ダミー団体を設立したという推理も成り立つ。脱法献金の構図はすべて“ツーカー”の関係で成り立たせていたのだろう。献金する側が身分を明かさないで献金するという小沢の論理構成は、まさに噴飯ものでもある。そんなバカな経営者はいまい。政治家の記者会見の常は「秘書がやった」だが、今回も小沢は「すべての献金について秘書と担当者がやっていた」と強調している。いざとなればトカゲのしっぽ切りへの備えも、弁護士と打ち合わせているに違いない。
小沢も、民主党もこの“トラバサミ”が外れると見ているところが甘すぎる。今後検察は、リークにリークを重ねて、小沢を追い詰めてゆく。例えば読売のスクープ「小沢氏側が西松建設に献金請求書」が良い例だ。全国紙も全紙が社説で「記者会見で国民への説明責任を果たしたとは言えない」と主張している。今後の展開は、第一秘書拘留期限の今月24日までに検察が起訴し、小沢の立場はますます窮地に追い込まれる。一方で国会は、今のところは共産党だけが「参考人招致か、証人喚問」を主張しているが、小沢が辞任しなければ、国会の大きな動きとなってゆくだろう。政府・与党にしてみれば、小沢の“悪あがき”が長引けば長引くほど政権側に有利に働くという判断だろう。民主党がこれに対抗するには、できる限り早期に清新な副代表・岡田克也に党首を差し替え、再出発することだ。それならダメージは最小限にとどめられるかも知れない。総選挙を控えて「麻生降ろし」がますます霞み、「小沢降ろし」が今後の焦点としてクローズアップしてゆくだろう。
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