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2009-03-03 00:00
小沢短絡失言を分析する
杉浦 正章
政治評論家
「米軍削減論」とこれに伴う「自衛隊の軍備拡張論」を待つまでもなく、民主党代表・小沢一郎の“失言”癖も相当なものがある。首相・麻生太郎が「常習犯的饒舌失言」とすれば小沢は「確信犯的短絡失言」である。失言と言っても普段から思っている事が多く、表現力が不足する傾向が強い。とりわけ外交・安保に関する失言が目立ち、民主党に少なからぬ打撃を与え始めている。「小沢首相」が発言したら、国の命運を左右しかねないとみられる発言も多い。小沢失言の最たるものは1994年4月の「どの女と寝ようといいじゃないか」。衆院の新会派「改新」結成と社会党の連立離脱に関連して、新生党代表幹事の小沢が漏らしたものだが、いまでも通用しそうだ。「軍拡発言」で次期衆院選後の連立相手としてきた社民党ときしみが生じているが、こんな発言をしようものなら、党首・福島瑞穂が“柳眉”を逆立てて怒り、それこそぶちこわしとなろう。
2日付けの産経新聞だけが報じている発言も小沢失言の極致である。「拉致問題は北朝鮮に何を言っても解決しない。カネをいっぱい持っていき、『何人かください』って言うしかないだろう」という。2月上旬、民主党議員と支持者による会合での発言で、「会場は一瞬凍りつき、箝口(かんこう)令が敷かれた」というものだ。北朝鮮による拉致被害者をカネでで買うというのだからすさまじい。この発言は田中角栄の発想と似ている。田中は幹事長時代に中国の自由化を目指すには「落下傘でテレビをばらまき、日本文化を衛星放送で輸出する」と述べたことがある。田中発言は形を変えて実現している。NHK番組「おしん」が中国で爆発的な人気となって、10億人が見て自由主義経済を手っ取り早く学んだとされるからだ。「政治の父は田中角栄」と公言する小沢らしい発想だが、いくらなんでも拉致をカネで買うという発想は、田中金脈の末裔(まつえい)とは言え、日朝双方から総スカンを食らうだろう。
「中国『共産党政権』は必ず崩壊する」という昨年9月の発言も、 首相としての立場でものを言えば、日中関係に重大な影響を及ぼしかねないだろう。「独裁的権力を持った者はそう簡単に権力を手放さないから、あるとき崩壊する」というのだから、信念に基づいている。小沢は米国務長官・クリントンとの会談でも「中国のこれからを非常に心配している。市場主義と共産主義の矛盾が表面化するだろう」と述べており、中国共産党一党独裁の崩壊は、小沢の確信であろう。「おれはまったく米国のことは信用していない。日本の国益を守るために言うべきことは言わないといけない」。去る2月の国民新党代表代行の亀井静香との会合での発言だが、最近の小沢発言は米国内で「反米政治家」と受け取られる傾向がある。
インド洋における給油のためのテロ特措法問題では、教条的に憲法違反とする反対姿勢をとり続け、駐日米大使シーファーを激怒させた。同大使は「テロ特措法問題は小沢ががん」と大統領に報告したといわれる。それでいてクリントンとは、日米同盟の重要性では一致している。こう見てくると、小沢の外交姿勢には論理的な一貫性に欠ける傾向が強い。要するに自民党の敵失で、「揚げ足取り」による民主党支持率拡大に専念してきた結果、理論武装のない断片発言、片言失言を繰り返しているのだ。加えて党内の「社会党左派」をにらんでの発言というサーカスじみた対応も迫られる。しかし政権を獲得したら説明不足で済む問題ではない。内政・外交・安保上の政策課題をどのような優先順位で実現するのかを明示できない党首では、単なる“壊し屋”とされても仕方がないだろう。
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