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2009-02-20 00:00
(連載)イスラエルもパレスチナも右旋回で出口なし(2)
石川 純一
フリージャーナリスト
パレスチナ解放機構(PLO)側も、1990~91年の湾岸危機・戦争で当時のフセイン・イラク政権に肩入れして、アラブ陣営から総スカンをくらい、壊滅に近い打撃を被った。その痛手から立ち直ろうと奔走し、アラファト議長は労働党のラビン首相との間で1993年、いわゆるオスロ合意を結んだ。パレスチナ自治政府を生み出すことになった重要な合意だが、肝心のラビン首相が、狂信的なイスラエル極右青年によって暗殺され、今に至るパレスチナ混迷の源となった。
ナチス・ドイツのホロコーストを生き延び、社会主義的な理想を掲げてイスラエル建国を闘った世代が去って、「境界線・国境線は既にそこにあるもの」と認識するポスト建国後に生まれた世代が政治の中枢に入ると、勢力を伸ばすのは当然ながら右派だ。彼らは、国連の「パレスチナ分割決議」を受け入れて、ともかくも独立を果たそうと奔走した、親の世代の苦労など全く知らない。パレスチナ人は、イスラエルの安全を脅かすテロリストでしかない。
PLO側とて同じことだ。オスロ合意を結んで、ともかくもイスラエル側と共存し、パレスチナ独立国家を実りあるものにしようとした、故アラファト議長の思惑など知りはしない。「異教徒ユダヤ人を東エルサレムから追い出せ」と呼号するイスラム原理主義が、若者の心をとらえ、現実的な政治手段は影を潜めるばかり。原理主義組織ハマスは、オスロ合意でパレスチナ自治区となったガザ地区を武力で実効支配している。イスラエルにロケット弾攻撃を加えて得意顔だ。
今のイスラエルに、パレスチナ和平を追求しようという国民的合意はなく、対パレスチナ強硬姿勢に拍手を送るばかりだ。それは今回のクネセト総選挙でも改めて示された。パレスチナ側も状況は同じだ。アラブ陣営とイスラエルの全面戦争という図式は途絶えて久しいが、混迷の継続、逼塞状況の継続という息苦しい雰囲気は、今後も10年単位で続いていくだろう。(おわり)
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